ドニ・ラヴァン
メルド
NY、パリ、ソウルという大都市で暮らす3人の鬼才監督が、独自の視点で東京の真実の姿をとらえる“東京三部作”の一遍。監督は「ポーラX」以来9年ぶりとなるレオス・カラックス。本作では世界中の大都市に出没する謎の怪人が東京の街を疾走するという不条理に満ちた奇想天外な物語が炸裂する。突如東京に現れる怪人メルドには「ボーイ・ミーツ・ガール」以来、カラックスの分身と言われ、「ポンヌフの恋人」以来16年ぶりの顔合わせとなる盟友ドゥニ・ラヴァン。フランスの怪優、ジャン=フランソワ・バルメール。日本からは石橋蓮司、北見敏之、嶋田久作らが脇を固めている。
大都市の喧騒の中、突如マンホールから一人の謎の人物が地上に現れる。赤毛の髪、長く伸びたあご髭、すりきれた緑色の服に身を包んだその姿は、どこをとっても異様な風貌だ。その人物メルド(ドゥニ・ラヴァン)は、心臓に手を当てた独特の歩き方で、銀座の中央通りに侵入し、道行く人々に危害を加え始める。奪った花を食べながら驚異的なスピードで東京の中心街を闊歩し、またマンホールへと姿を消していく。この謎の人物の出現は、各メディアでも大きなニュースとして報道され、“下水道の怪人”と称されたメルドは、東京中の人々に大きな衝撃を与えることになる。マンホールの奥底、地下深くがメルドの住処。都会の喧騒とはかけはなれた静けさの中、彼は“一文字菊”という特殊な花と紙幣を主食として生きている。花に囲まれたメルドの近くには、戦争の名残なのか、巨大な戦車が置かれ、その周りには数多くの武器が散在していた。その中から手榴弾を手に、再び地上へと向かうメルド。彼は多くの人々が行きかう渋谷の歩道橋へ向かい、意味不明の言葉を叫びながら手榴弾を投げ放つ。大きな爆音とともにあたりは一面赤色に染まった。後日、大きな花束を抱えて眠るメルドの元に警察の特殊部隊が現れ、彼は即座に拘束される。世界各国から次々と寄せられる情報で、少しずつメルドという人物の輪郭が見え始める。アメリカからはアルカイダの訓練キャンプの映像に映っていたという話題が、シベリアからは17年前に記憶喪失のまま失踪した自分の息子であるという話題などが届く。しかし、メルドの目撃談は世界中の都市に広がっており、彼の人物像や過去に迫りきれるものではなかった。そんな中、世界で三人しか話せないというメルドの特殊言語を理解できる人物として、フランスから弁護士のヴォランド(ジャン=フランソワ・バルメール)が来日する。拘置所内。拘置所長(嶋田久作)、次席検事(北見敏之)が厳しい視線で見守る中、メルドとヴォランドの解読不能な会話が続く。そして、事件の核心にふれることがないまま、ついに裁判が始まった。担当検事(石橋蓮司)からの激しい尋問にも、メルドはいつも通りの様子で、事件を起こした要因を「人間が好きではないからだ」といった常軌を逸した内容で返答していく。連日、この裁判のニュースは日本中を賑わし、メルドの死刑を求める声と、メルドをカリスマ的存在として崇める声とで、大きな論争を巻き起こしていた。そして、下された判決は……。
メルド
ヴォランド
タントウケンジ
ヒロギシジセキケンジ
コウチショチョウ
タカクモヒデコ
ツウヤクイチ
ツウヤクニ
サイバンチョウ
ノモトアナウンサー
監督、脚本
エグゼクティブプロデューサー
撮影
美術
編集
スタイリスト
ビューティー・ディレクター
ヘアメイク
照明
録音
操演
チーフ助監督
監督補
キャスティング
スチール
アソシエイト・プロデューサー
ライン・プロデューサー
特殊メイク
ロケーション総括
コーディネーター
メイキング
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