ポーラ・ネグリ
Countess_Gerda_Wallentin
「オレンジ売る頃」に次いで製作されたポーラ・ネグリ嬢主演映画でベルナウエル及びオステルライヘル両氏合作の舞台劇を、ドリス・アンダーソン女史が潤色し、ジャン・ド・リミュール氏が脚色し、「鉄条網」「大尉の娘」「オレンジ売る頃」をものしたローランド・V・リー氏が監督した。ネグリ嬢を助けて「ラモナ(1927)」「或る男の一生」のワーナー・バクスター氏、ハンガリー舞台俳優として知名のポール・ルカス氏、オルガ・バクラノヴァ嬢、「粋な殿様」「新婚受難」のチュリオ・カルミナチ氏、アンダース・ランドルフ氏等が出演している。
ゲルダはドイツドレスデンに住むヘルムート・ヴァレンティン伯爵の息子ディートリッヒの妻として既に一人の子供もあり、なんといって不足のない生活を送っていた。けれども彼女には満たされぬものがあった。良人ディートリッヒは名誉欲にとらわれていて常にヒルダ・ブリングス男爵夫人と接近し、ヒルダを通じて政府筋に何等かの地位を得ようと努めていた。従ってディートリッヒはヒルダとの交際のために家庭を顧みないようになった。そしてある時彼は総理大臣に会うということを口実にして、ゲルダを一時オーストリアのウィーンにいる妹の許へ赴かしめた。ところがゲルダが乗り込んだ列車は鉄橋から墜落して多くの死傷者を出した。ゲルダも死亡者として新聞紙に報道だれたが、彼女は途中下車をして知合いの音楽家のスタニスラウ・ベルンの家に泊まっていたので、今更自分が生きていたことを良人や世間に対して発表することが出来ない破目となった。やむを得ずゲルダは名を変えて別の女として後半生を送ることを決心した。かくて彼女は鬘を用いシェルディンスキ夫人として偽名してパリに現れ、娯楽場を経営することとなった。彼女の美貌はパリ紳士間の噂の種となり、中でも米国人ジェームズ・ハリスと彼女の以前の良人たるディートリッヒは彼女を愛することあつかったが、ディートリッヒよりもハリスの方が真面目にかつ深く彼女を愛していることが明白になったので、彼女はハリス夫人たるべく渡米することになった。
Countess_Gerda_Wallentin
James_Harris
Baroness_Hilda_Brings
Count_Dietrich_Wallentin
Stanislaw_Berne
Count_Hellmuth_Wallentin
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