キャンディス・バーゲン
Maren
全世界のダイヤモンド相場を一手にコントロールするといわれるロンドンのダイヤ公社の地下室に眠る数百万カラットのダイヤ原石を一粒残らず盗みだした男女二人組の犯行を描く。製作はエリオット・カストナー、監督はアラム・アヴァキアン、脚本はジェフリー・ブルームとチャールズ・グローディン、原作はジェラルド・A・ブラウン、撮影はアーサー・イベットソン、音楽はマイケル・J・ルイスが各々担当。出演はキャンディス・バーゲン、チャールズ・グローディン、ジョン・ギールグッド、トレヴァー・ハワード、ジェームズ・メイスン、ピーター・ヴォーン、ヘレン・チェリーなど。
ロンドンの下町ストランドにあるハロウハウス街。そこの11号館はダイヤモンドの取引を行う世界的に有名な公社のホーム・オフィスである。ここに世界各国から最良質のダイヤの原石が送られて来て、地下の大金庫に保管される。ハロウハウス11号館はいわば、世界のダイヤの大半を所有し、世界のダイヤ相場を一手にコントロールしている独占企業である。ダイヤを保管する地下の大金庫は、現代科学の粋を集めたあらゆる盗難防止装置が施されており、例えば金庫をとり囲む壁は75ミリ砲弾も貫通しない10センチ余の鋼鉄であり、超高感度の電子撮影装置、生物探知器、8台のレーザー光線反射鏡などが備えつけてある。ミーチャム(ジョン・ギールグッド)という冷徹で頭のきれる男が統率するこのダイヤ帝国を侵すことは出来ない。若いアメリカのダイヤ仲買人チェサー(チャールズ・グローディン)は、その彼の信用がなかった。彼にはマレン(キャンディス・バーゲン)という愛人がいた。彼女はスウェーデン出身の未亡人でフランスに巨万の富を所有している億万長者だ。ある日チェサーがマレンと共にホテルに泊まっていると、クライド・マッセイ(トレヴァー・ハワード)という億万長者から会いたいとの申し入れがあった。二人がチェサーの豪邸に行くと、そこでボールディング夫人(ヘレン・チェリー)に紹介された。マッセイがチェサーを呼んだ理由は、チェサーに最良質のダイヤを一つ手に入れてもらうためだった。金額は100万ドル。チェサーは再びダイヤ公社を訪ね、ワッツ(ジェームズ・メイスン)を通じて1個80万ドルのダイヤを買入れた。ワッツは彼に、いかに自分たちがミーチャムに酷使されているかを語った。数日後、チェサーとマレンはダイヤを車で届ける途中何者かに襲われ、ダイヤを奪われてしまった。彼はマッセイに事の次第を打ち明けたが、当然100万ドルを弁償しなければならなくなった。彼の苦しい立場を知ったマレンが100万ドルの小切手を振り出したが、彼のプライドがそれを受けつけなかった。そんなチェサーに、マッセイは意味ありげにダイヤ公社の地下室に価格12億ドルのダイヤの原石を保管していること、さらにマッセイは公社に隣接するビルが彼の経営する会社で目下改修中で空家になっていることを告げた。チェサーが帰ったあとマッセイは宝石箱から、チェサーが奪われたといったダイヤを取り出した。すべてはマッセイが組んだ芝居で、彼が部下を使ってチェサーからダイヤを奪わせ、一本気なチェサーをそそのかし、公社の地下室に眠る12億の原石を盗ませ、世界のダイヤ市場を一挙に狂わせることにより、独占企業を誇るダイヤ公社を壊滅させようという驚くべき計画を立てていたのだ。この計画は見事に成功し、チェサーは、女性ながら射撃にすぐれ人一倍運動神経の発達したマレンと、公社に強い恨みをもつワッツの内部からの協力を得、ダイヤ公社に隣接するマッセイのビルを拠点として、ダイヤを一粒残さず奪いとるという犯罪史上空前の離れ業をやってのけた。だが二人は、マッセイの執拗な追跡を変わすため、工事中の噴水のコンクリートの中にダイヤを埋め、姿を消した。
Maren
Chesser
Meecham
Clyde_massey
Watts
Coglin
監督
脚本
脚本
原作
製作
撮影
音楽
[c]キネマ旬報社