クライヴ・ブルック
Colin_Grant
「六月十三日の夜」「上海特急」のクライヴ・ブルックと「舗道」「紐育の仇討ち」のジョージ・ラフトが共演する映画で、E・フィリップス・オッペンハイムの原作を「暗黒街の顔役(1932)」「鷲と鷹(1933)」のシートン・I・ミラーが、レスリー・チャータリスと共同脚色し、「419号室の女」と同じくアレクサンダー・ホールとジョージ・サムンズが共同監督し、シオドア・スパークールが撮影したもの。助演者は「笑う巨人」「仮面の米国」のヘレン・ヴィンソン、「恋の凱歌」「夜毎来る女」のアリソン・スキップワース、「暴風の処女」「鷲と鷹(1933)」のサー・ガイ・スタンディング、アラン・モーブレイ、フェルディナンド・ゴットシャルク等である。
ロンドンに深夜倶楽部というナイト・クラブがある。この倶楽部を根城としてコーリン・グラントは宝石専門の泥棒を働いていた。彼は表面、社交界の紳士を装っているので、確証を握るまではロンドン警視庁も手を下す事は出来なかった。彼の仲間にはアイリスとブラドリイとルーベンスの3人があった。彼等は不在証明を作るため替え玉を使用し、替え玉が倶楽部で談笑している間に宝石店を襲って獲物を狙うので、ホープ警部が彼等の行動を監視するために派遣した探偵達は、犯行の行われた時間に彼等一味がクラブにいたと証言する始末であった。アイリスが宝石を持って逃走する途中、アメリカ人のニック・メイスンが現れて彼女から宝石を強奪した。メイスンは米国からホープ警部が特に招聘した探偵であるが、グラントの一味は彼を悪漢と誤解した。グラントがバーレット・スマイス夫人の金庫から夫人の宝石を奪おうと計画した時、再びメイスンは裏を掻いて宝石を失敬した。メイスンは奪った宝石を小包にして、自分の住所を書き夫人の邸の郵便物の中に入れて邸を出たが、アイリスとブラドリイに同行を求められた。彼等はメイスンの身体検査をしたが宝石が出てこないので途方にくれているところへ、グラントがスマイス夫人邸から帰って来た。彼はメイスンのトリックを見破り、小包の中身の宝石を抜き取っていたのである。メイスンはグラントの一味に加わることとなり、早速彼はカールバード侯爵夫人邸の舞踏会にアイリスと共に派遣された。夫人の宝石を奪う命令を受けて、ブラドリイも給仕に変装して邸に乗り込んでいた。彼等は宝石を手に入れて来た。メイスンはグラントが倶楽部の秘密室で花瓶を作り、宝石をその中に入れて海外に輸出していることを知ってホープ警部に報告したが、グラントは早くもメイスンが探偵であることを観破して彼を縛して逃走する。アイリスは今はメイスンに恋しているので、彼の手錠で自分の手とメイスンの手を繋ぎ、一歩遅れて手入れに来た警部に捕らえられた。ホープ警部は彼女にグラントの行方を教えればメイスンが彼女を米国に連れて帰る事を許すと言うが、彼女は仲間を裏切る事は出来ないと頑張った。グラントはアイリスが捕らえられた事を知り、彼女の幸福を祈って自ら警部に捕らえられたので、アイリスはメイスンと共に米国へ赴くことができた。
Colin_Grant
Nick_Mason
Iris_Whitney
Lady_Barrett-Smythe
Commissioner_Hope
Arthur_Bradley
George_Rubens
The_Duchess
Thomas_Roberts
1st_Detective
2st_Detective
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