エカテリーナ・シューリナ
アディーナ
2009年のグラインドボーン音楽祭で上演されたドニゼッティ作曲のオペラを映像化。美貌の村娘が純朴な青年の愛を受け入れるまでを喜劇的に描く。テノール・アリアの傑作『人知れぬ涙』が聴きどころ。指揮はアウリツィオ・ベニーニ。演出はアナベル・アーデン。出演は、エカテリーナ・シューリナ、ピーター・オーティ。
ネモリーノ(ピーター・オーティ)は、才に長け、美貌に恵まれた富農の娘アディーナ(エカテリーナ・シューリナ)に想いを寄せている。アディーナもネモリーノの気持ちには薄々気づいていたが、気が弱く貧しい彼には見向きもしなかった。そこへ、軍曹のベルコーレ(アルフレード・ダザ)が現われる。アディーナに一目惚れしたベルコーレは、彼女に結婚を申し込む。ネモリーノは慌てて、流しのインチキ薬売りドゥルカマーラ(ルチアーノ・ディ・パスクワーレ)から惚れ薬を手に入れる。ネモリーノは、それでアディーナの気持ちを自分に向けようと試みる。しかしその薬の中身は、実はただの安ワインだった。ベルコーレに進軍命令が出て、急遽アディーナとの婚礼が行われることになる。しかし、アディーナは結婚の誓約に躊躇してしまう。ネモリーノはさらに惚れ薬を買おうとするが、金がない。そこでベルコーレの部隊に入隊し、給料を前借りする。薬と偽ったワインを買ったネモリーノは、それを飲み干して眠ってしまう。そのころ村では、ネモリーノの伯父が死に、巨額の遺産がネモリーノに転がり込むという話で持ち切りになっていた。ネモリーノが目を覚ますと、彼は村一番の人気者となっていた。アディーナは、結婚の誓約に踏み切れなかったのはネモリーノに惹かれていたからだと気づき、2人は結ばれる。
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