監督
大正時代に始まった岩手県小繋集落の入会権裁判の記録を通して、日本人と山の関係を浮き彫りにするドキュメンタリー。1960年に撮影開始した映像を7年かけて編集し、50年後に完成を見た力作。2009年キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門第2位。ナレーションは「キネマの天地」ほか山田洋次作品などで活躍するすまけい。
ストーリー
岩手県北部、二戸郡一戸町にある小繋集落。農地の少ないこの土地の農民にとって、薪炭材や木の実、山菜など小繋山で得る自然の恵みは生活に不可欠なものだった。だが、大正6年に集落を襲った火事をきっかけに山の入会権(いりあいけん)を求め集落農民が訴訟を起こす。入会とは、一定地域の住民が慣習的な権利により特定の山野などを、薪材、緑肥その他の採集目的で利用することである。第1次から第3次まで争われた訴訟だったが、昭和41年最高裁が住民の訴えを却下して幕が引かれた。そして昭和35年、同地に3人のジャーナリストが事件の取材に訪れる。ドキュメンタリーカメラマンの菊地周、写真家の川島浩、ドキュメンタリー作家の篠崎五六。彼らが残した貴重な記録資料を7年の歳月をかけて編集。地域の自然と共に暮らす人々を記録したこの映画は、豊かさを享受してきた日本人に“山は誰のものか?”、“生きるとは?”という根源的な問いを投げかける。
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