監督
「ベールの下のイラン」のティエリー・ミシェルにが、アフリカの大動脈・コンゴ河をとらえたドキュメンタリー。コッポラの「地獄の黙示録」原作『闇の中』の舞台にもなった大河をさかのぼり、地獄の淵にあるコンゴの人々の希望を映し出す。ベルリン国際映画祭最優秀ヨーロッパ・アート&エッセー作品賞、CICAE賞受賞。
ストーリー
アフリカの熱帯雨林地帯を流れるコンゴ河。この河は、陸路の交通網が未発達なこの地の人々にとって最も有効な移動手段であり、フランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」の原作であるジョセフ・コンラッドの小説『闇の中』の舞台にもなった。全長4371キロメートルのコンゴ河を、河口から世界で最も大きい流域を持つ水源までさかのぼる。古い記録にあるアフリカの神話の登場人物である、植民開拓者のスタンリーとレオポルド2世、アフリカの指導者ルムンバとモブドゥの記憶を呼び起こし、スタンリーの軌跡を追う。“眠り病”を媒介するツェツェバエ、激しい嵐、歌を歌う愛国的民兵、廃墟となった巨大な宮殿などをカメラは映し出し、地獄の淵にあるコンゴの人々が、希望に向かって立ち上がろうとする姿をとらえていく。また、この河の沿岸にしか生息しない植物も記録していく。一方、川岸では、丸木舟を操る人や漁師、商人、旅人、子供、暴行を受けた女性などの喜びや苦悩、祭りや悲劇を映像におさめていく。