監督、脚本、製作総指揮
「風を聴く 台湾九[イ分]物語」の林雅行が、空襲によって傷ついたり手足を失った“民間人戦災傷害者”にスポットを当てたドキュメンタリー。日本の戦後補償は、軍人や軍属、遺族、被爆者に限られ、戦災傷害者には救いの手が差し伸べられていない。苦しみながら戦後を生きてきた彼らの怒りや諦め、悔しさの声を綴っていく。
ストーリー
太平洋戦争が終わって65年が経ち、焦土と化した日本は驚異的な復興を遂げた。国はいち早く軍人や軍属、遺族に、さらに戦後50年を前に原爆被害者にも援助の手を差し伸べた。多くの政治家、役人、国民は、これで日本の戦後補償は終わったと考えている。戦争時、日本はアメリカ軍の無差別爆撃をうけたが、日本政府は国民に逃げるのではなく、防空・防火を義務づけた。そのため実際の空襲を受け、多くの国民が被災した。しかし手足を失ったり、焼夷弾の火傷によってケロイドが残るなどの後遺症に苦しむ人々には、救いの手は差し伸べられていない。47万人以上いる民間人戦災傷害者にとっては、戦後も生きるための戦争だった。片手で車の運転をして生計を立て、片手で食事を作り、赤ちゃんのおむつを替えた。視力を失った人は、マッサージの技術を手さぐりで習得した。彼らを支えたのは、夫、妻、家族たちである。しかし、周囲の理解を得られず、疎んじられ、差別と偏見に苦しみ、死を選んだ人もいる。家族に傷のことを打ち明けられない人もいる。戦災傷害者の多くが国に訴えたが、軍人や軍属が優先された。その後、民間の被爆者への救済が行われたあとも、国と雇用関係にない、内地は戦場ではないという理由から、彼らの訴えは退けられた。多くの戦傷者は声を上げるのを諦め、病床に伏し、無念の思いでこの世を去った人もいる。しかし、彼らの思いを背負い、声を上げ続ける人もいる。戦傷者は棄てられた民なのか? 彼らの声を綴っていく。
スタッフ
語り
新井晴み
取材・撮影
伊藤文美
取材・撮影、編集
高良沙葵
編集
堀善介
音響効果
林恵吾
挿入歌
寿
EED
古俣裕之
EED
岩谷洋平
MA(音声編集)
河野弘貴
MA(音声編集)