架空の街ネオオオサカシティーを舞台に、お尋ね者のヤクザが聾パンクロッカーの女と出会い、互いの孤独を埋めていくかのように惹かれていく姿を描く「ジャップ・ザ・ロック・リボルバー」の島田角栄監督作。出演は「ララピポ」の松本さゆき、「掌の小説」の内田春菊、「少年メリケンサック」の遠藤ミチロウ、「名前のない女たち」の鳥肌実など。
ストーリー
組長の命が狙われていると勘違いした新見は、子分の斉藤とともに敵対するヤクザの組員を10人殺害してしまう。敵対する組のお尋ね者になったあげく、自分の組にすら見放された新見らは、行き場もないまま闇雲に街中を逃げ回っていた。そんな折、新見は聾パンクロッカーのマリア(松本さゆき)と出会う。複雑な家庭の事情を抱え、マリアもまた自分の居場所を失っていた。ふたりは出会った瞬間から、不器用にしか生きられない者同士の親密な心のつながりを感じる。しかし、愛をあきらめていた彼らがようやくお互いを愛おしいと感じ始めたのも束の間、新見を狙う刺客が次々と現れ、ふたりは血にまみれた抗争に巻き込まれていく。阿修羅のごとき姿に武装した新見が最後の死闘を繰り広げる中、ネオオオサカシティーの上空に、あの伝説のネックチェーンのベーシストが蘇る。そのベースに呼応するように、マリアのかきならす激しいギターが絶望的な叫びをあげ、愛しき者への祈りを捧げるのだった。やがて崩壊のきらめくカオスの中で、ふたりの物語は切なすぎる神話になる……。