障害を持つ修行僧をメンバーに加え、即興演奏を中心に活動するバンド“ギャーテーズ”。その中心的存在である静岡県にある寺の二代目住職、角田大龍と韓国人であるその恩師との関係、バンド結成から現在までの活動を通して、日朝問題を見つめ直したドキュメンタリー。監督は「石井輝男 FANCLUB」の矢口将樹。
ストーリー
静岡県富士宮市にある超教派弘願寺の二代目住職、角田大龍。元ロッカーの彼は1995年、寺で共に暮らし、修行に励む3人の知的障害の僧侶=清僧たちとバンド“ギャーテーズ”を結成する。元“裸のラリーズ”の高橋ヨーカイ、“頭脳警察”の石塚俊明など、多数のミュージシャンも参加。即興演奏=インプロビゼーションを中心にした演奏と3人の清僧がフロントに立つアバンギャルドなスタイルで話題となり、活動範囲は大きく広がっていく。だが2002年、大龍の恩師であり寺の創設者である韓国人、釋弘元がニューヨークから帰国。苦境に喘ぐ寺再建の過程で、次第に韓国人である釋弘元と大龍の間にある違和感と確執が表面化していく。それは単なる考え方の違いではなく、“日韓日朝問題”という歴史的背景が絡んだ、複雑な文化意識の差だった。このドキュメンタリーは、心臓を患った大龍が入院していた3か月の間、清僧たちが諍いながら不器用に寺での生活を営んでいく姿に始まり、ギャーテーズ復活ライブ当日までの日々を追った記録映像である。世界共通言語である音楽を軸として、歴史を知る人間と知らない人間、その双方が生きる現在に、過去はどう受け止められるべきなのだろうか……。