ボーク・エリカ
娘
ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督が“最後の監督作”と公言して作り上げた作品。美しいモノクロの長回し映像で捉えた1人の農夫とその娘の過酷な日常生活を通じて、人間の倫理と尊厳を問う。出演は「倫敦から来た男」のボーク・エリカとデルジ・ヤーノシュ。ベルリン国際映画祭で審査員特別グランプリと国際批評家連盟賞を受賞。
初老の男(デルジ・ヤーノシュ)とその娘(ボーク・エリカ)、そして年老いた馬が暮らす、人里離れた荒野の中の一軒家。唯一の収入源は馬と荷馬車だった。父は荷馬車仕事を、娘は家事を行なって日々を過ごす。暮らしぶりは貧しく、毎日は限りなく単調。熟練の動作と季節の変化、一日の時間によってリズムと決まりきった仕事が与えられるが、その重荷が残酷に彼らにのしかかる。日常生活には、時おり訪れる人々がいる以外、これといった事件は起こらない。だが、その単調な日常に微かな異変が起こり始める。木食い虫は鳴くのをやめ、馬はエサを食べず、ついに井戸が枯れる。そのため男は、娘と馬を連れてこの家を出て行くことを決意する。だが、2人と1頭は家の前の丘を登り切ったところで、何故か引き返してくる。とうとう火種もつき、男と娘は生のジャガイモの食事を前にして、ただただ沈黙するのである……。
監督、脚本
脚本
製作総指揮
製作総指揮
製作総指揮
撮影
音楽
[c]キネマ旬報社