幕末太陽傳(デジタル修復版)|MOVIE WALKER PRESS
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幕末太陽傳(デジタル修復版)

2011年12月23日公開,110分
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明治維新間近の幕末の品川を舞台に、無一文ながら大尽遊びを繰り広げて居座る男を描いた川島雄三監督の代表作。日活創立100周年を記念してのデジタル修復版。脚本は田中啓一、今村昌平、川島監督。撮影は高村倉太郎。出演はフランキー堺、南田洋子、石原裕次郎ほか。2011年10月にニューヨーク映画祭でワールドプレミア上映された。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

頃は幕末--ここ品川宿の遊女屋相模屋に登楼したのは佐平次の一行。さんざ遊んだ挙句に懐は無一文。怒った楼主伝兵衛は佐平次を行燈部屋に追払った。ところがこの男黙って居残りをする代物ではない。いつの間にやら玄関へ飛び出して番頭みたいな仕事を始めたが、その要領のよいこと。売れっ妓こはるの部屋に入浸って勘定がたまる一方の攘夷の志士高杉晋作たちから、そのカタをとって来たり、親子して同じこはるに通い続けたのがばれての親子喧嘩もうまく納めるといった具合。しかもその度に御祝儀を頂戴して懐を温める抜け目のない佐平次であった。この図々しい居残りが数日続くうちに、仕立物まで上手にする彼の器用さは、女郎こはるとおそめをいかれさせてしまった。かくて佐平次は二人の女からロ説かれる仕儀となった。ところが佐平次はこんな二人に目もくれずに大奮闘。女中おひさにほれた相模屋の太陽息子徳三郎は、おひさとの仲の橋渡しを佐平次に頼んだ。佐平次はこれを手数料十両で引受けた。あくまでちゃっかりしている佐平次は、こはるの部屋の高杉らに着目。彼らが御殿山英国公使館の焼打ちを謀っていることを知ると、御殿山工事場に出入りしている大工に異人館の地図を作らせ、これを高杉らに渡してまたまた儲けた。その上焼打ちの舟に、徳三郎とおひさを便乗させることも忘れなかった。その夜、御殿山に火が上った。この事件のすきに、ここらが引上げ時としこたま儲けた佐平次は旅支度。そこへこはるの客杢兵衛大尽が、こはるがいないと大騒ぎ。佐平次は、こはるは急死したと誤魔化してその場を繕い、翌朝早く旅支度して表に出ると、こはいかに杢兵衛が待ち構えていてこはるの墓に案内しろという。これも居残り稼業最後の稼ぎと、彼は杢兵衛から祝儀をもらうと、近くの墓地でいいかげんの石塔をこはるの墓と教えた。杢兵衛一心に拝んでいたが、ふと顔をあげるとこれが子供の戒名。欺されたと真赤になって怒る大尽を尻目に、佐平次は振分けかついで東海道の松並木を韋駄天走りに駈け去って行った。

作品データ

映倫区分
G
製作年
1957年
製作国
日本
配給
日活
上映時間
110分

[c]キネマ旬報社

動画配信

映画レビュー

4.7
  • rikoriko2255

    パライバ

    4.0
    2014/9/30

    この映画の面白さは、相当に粋な人でないと全てを理解するには至らないのではないかと思う。 古典落語を知っていればにやりとする箇所がもっと多かったに違いない。「ここがオチだよね」と思うところがもっとわかるはず。自分自身へのもどかしさが残る。

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  • rikoriko2255

    やまひで

    5.0
    2012/2/18

     本作、ハナの噺でイントロが入ると、『幕末太陽傳』と題字が出る。しかし、その背景は現代、1956/7年当時である。中々粋である。スタッフ・ロールに重ねて、時事ニュース的な名調子の解説が入る。すると、キャメラは、品川駅を出る電車に合わせて右から左に振られ、止まったところが陸橋、それを受けて今度は京浜国道を走る車に合わせてキャメラは左から右に頭を振り、止まって、品川の街の一角を捉える。そこから、キャメラは品川の街に入り込み、「さがみホテル」の前で止まる。ナレーターは、1956年成立の売春防止法によって所謂「特殊飲食店」が非合法化されることにより、品川遊郭も350年を誇るその歴史を1958年には閉じることを告げる。(この辺の事情は、川島監督自身の1956年の作品『洲崎パラダイス赤信号』や溝口健二の同年の作品『赤線地帯』が参考になる。)そして、ナレーターの話が終わるとともに、「さがみホテル」のネオンがフェード・アウトして、妓楼「相模屋」の行灯が浮かび上がって、ストーリー世界は再び文久二年(1862年)に戻る。これは、絶妙に滑らかな語り口である。  ストーリー自体は、落語を幾つか土台にしてあるそうだが、まずは元々は北国吉原の噺『居残り佐平治』を軸に、それに何本かの噺を付け足し、このフィクションの世界に、歴史的事実としての、文久二年に起こった、高杉晋作らが企て・実行した「英国公使館焼き討ち事件」を盛り込んでいる。実に、この事件は品川で起こった事件であり、高杉たちは実際にこの「相模屋」に逗留していたとのこと。監督川島も参加し、今井昌平及び田中啓一が練りに練った脚本である。  中でも、小沢昭一と名女優左幸子が繰り広げる心中物のパロディーは滑稽味の極上品、それにフランキー堺が演じる左平治の、江戸っ子振りも中々スパッとして気持ちがいい。しかし、これだけでは底の浅い喜劇だが、そこは川島監督、左平治を労咳病みで、あのヘボン式ローマ字のヘボン先生から自己治療の方法を授けられているとする。左平治が時々見せる陰は、この良質の喜劇に重層性を与えている。そして、いつもは機転の利いて要領のよい都会人左平治が、映画終盤で杢兵衛大尽が体現するところの田舎者の実直さには最後に歯が立たなくなって逃げ出すというのも、蓋し、本作の含蓄のあるオチとも言えるだろう。

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    ネタバレあり
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  • rikoriko2255

    YO99

    5.0
    2012/1/17

    仏映画を凌ぐエスプリの効いた軽妙洒脱なコメディです。夭逝の天才川島監督の名作、とにかく粋で3回目の鑑賞ですが、何度見ても新鮮で引き込まれます。超大物俳優陣も当時は瑞々しい若さを溢れさせていました。この「若い頃」の映像を観るだけでも充分に価値が有ります。 特に、フランキー堺さんの江戸弁口調は粋を通り越して惚れ惚れします。 撮影当時の昭和32年の品川界隈風景・語りから幕末へタイムスリップしての導入も粋です。幕末の品川から主人公がそのまま現代へ飛び出して走り去るという幻のエンディング、本当に観たい! レトロではなく今こそ観るべき絶品です。

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