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中国で人気沸騰中の若手スター、ワン・イーボーが『無名』の撮影でみせた勤勉さ「撮影がない時も、現場に行ってレオンさんの演技を見た」

インタビュー

中国で人気沸騰中の若手スター、ワン・イーボーが『無名』の撮影でみせた勤勉さ「撮影がない時も、現場に行ってレオンさんの演技を見た」

スパイノワール映画『無名』(5月3日公開)で、名優トニー・レオンと共に映画W主演を果たしたワン・イーボー。中韓合同ボーイズグループ「UNIQ」のメンバーとしてデビューし、俳優としてもテレビドラマ「陳情令」でブレイクしたイーボーは、いま中国で熱い視線を浴びている若手人気スターだ。メガホンをとったチェン・アル監督からのラブコールを受け、スパイ映画に初挑戦したイーボーだが、本作が彼のフィルモグラフィにおいて特別な作品になったことは間違いない。

中韓ユニット「UNIQ」のメンバーで「ラコステ」のグローバルアンバサダーにも就任したワン・イーボー
中韓ユニット「UNIQ」のメンバーで「ラコステ」のグローバルアンバサダーにも就任したワン・イーボーCopyright2023[c]Bona Film Group Company Limited All Rights Reserved

第二次世界大戦下の上海を舞台に、中国共産党、国民党、日本軍の間で繰り広げられる名もなきスパイたちによる一進一退の攻防戦を描く本作。汪兆銘政権の諜報員フー役をレオンが、その部下であるイエ役をイーボーが演じた。同じ組織の上司、部下として暗躍する2人は、どのような運命を辿るのか!?本作は中国映画界最高の賞とされる第36回中国映画金鶏賞にて作品賞、主演俳優賞をはじめ8部門にノミネートされた。イーボーは本作で助演男優賞にノミネートされ、レオンが主演俳優賞、アル監督が監督賞と編集賞の3冠に輝いた。

数か月の撮影期間中、現場に没頭したというイーボー。自分の出番がない時は、静かにモニターのそばに座り、ほかの俳優たちから台詞の表現方法や筋肉のコントロールの仕方などを学んだという。イーボーは上海語を話す役を演じたが、明け方に仕事を終えてホテルに帰ってからも、毎日方言の練習を続けた。また、演じたイエの孤独感を味わうため、携帯電話の使用を減らしあまり多くの人と接触しないようにして役を作り込んだとか。スタッフ陣からもイーボーはとても誠実で勤勉だし、演技力も高いと称えられた。

今後の俳優としての活躍に期待が高まるイーボー
今後の俳優としての活躍に期待が高まるイーボーCopyright2023[c]Bona Film Group Company Limited All Rights Reserved

アル監督は、イーボーのメイクや衣装を見た時、原作や脚本のキャラクターが生きているように感じたと語っていたが、イーボー自身はどの時点でイエ役をつかめたのか?

「衣装合わせでああいうメイクやスタイリングに挑戦するのは初めてで、まるで別の時空に行くような感覚でした。まずは、スタイリングや衣装のおかげで一気にキャラクターに近づくことができたのではないかと。それから、ほかの共演者とのやりとりや監督とのコミュニケーションを通して、役を感じることができたのだと思います。監督の脚本は、ご存知のとおり、撮影の過程で少しずつ追加されていきますから、徐々にそのキャラクターをより深く知ることで没頭していき、演技に磨きをかけていきました」。

※以降、映画の核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

1940年代、スパイたちが暗躍する上海をノスタルジックに描く
1940年代、スパイたちが暗躍する上海をノスタルジックに描く Copyright2023[c]Bona Film Group Company Limited All Rights Reserved

彼が演じたイエ役については「とても過酷で心が痛む役だと思います」と語り、続けて「『無名』は、私たちがいまよりいい生活を送れるようにと、国に多大な犠牲と貢献をした当時の名もなき、顔も知らない、多くの人々についての物語です」と役への想いを語った。

また、イエ役の心理状態を表現することについては「現場の環境によるところが大きかったです」とコメント。「現場では、囚人が尋問されている場所があったり、たくさんの犬が吠えたり、地面が血まみれだったりして、とても憂鬱な気分になりました。撮影期間中もリラックスできなかったし、常にストレスや憂鬱な気分を抱え、役柄について共感していたので、まったく安心できませんでした」と述懐。

スタイリングや衣装をきっかけに役を作っていったというイーボー
スタイリングや衣装をきっかけに役を作っていったというイーボーCopyright2023[c]Bona Film Group Company Limited All Rights Reserved

劇中では、ダイナミックなアクションシーンにもトライしているが「格闘シーンは、私がこれまで出会ってきたものとはまったく異なり、スタイルも全然違いました。監督は、アクションシーンにリアリティを求めましたし、言葉を選ばずに言えば、それはヤクザのケンカのようなリアルさでした。雨のなかで日本兵と闘うシーンがありますが、あれは何日も何回もかけて撮影した一発勝負の格闘シーンでした」と撮影を振り返った。

アル監督の演出については「最初はなにもしないまま、俳優たちの好きなように演技をさせますが、監督は、私にとてもいい習慣を教えてくれました。それは毎回モニターでリプレイを確認することです。演技の後、リプレイを観て、どこがよくてどこがよくないかを教えてくれました。そうして無駄な動きをしなくなり、安定感のある芝居ができるようになっていきました」と感謝する。


ダイナミックなアクションにもトライしたイーボー
ダイナミックなアクションにもトライしたイーボーCopyright2023[c]Bona Film Group Company Limited All Rights Reserved

「私たちはどんどん調整していき、自然に役と一体化していったのです。監督はとても優しく、俳優がすぐに理解できるような明確な指示を出してくれました。監督はほかの役者にも自由に演じられるような余地を与えていましたが、私の演技経験は、ほかの役者ほど多くないため、私には直々に指導してくれました」

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