フランセス・クルメ
アンドレウ
内戦の傷跡が残る1940年代のスペインの貧富の差が如実に現れている村で、親子が転落死する場面に出くわしたことから、少年が親や家族、周囲の闇を目の当たりにしていくミステリー。監督はスペインのデヴィッド・リンチと称されるアグスティー・ビジャロンガ。本作は第84回アカデミー賞外国語映画賞スペイン代表作品となり、2011年ゴヤ賞作品賞をはじめ計9部門受賞するなど、国内外から高い評価を得ている。主演は本作のオーディションで見いだされたフランセスク・クルメ。ほか、「ハリー、見知らぬ友人」「パンズ・ラビリンス」などスペインやフランスなどで活躍するセルジ・ロペスが、主人公一家を窮地に追い込む町長役を演じている。2011年9月15日より、東京・新宿バルト9にて開催された「第8回 ラテンビート映画祭」にて先行上映。
まだスペイン内戦の傷跡が痛ましく残るカタルーニャの山の中で、ある日、11歳の少年アンドレウ(フランセスク・クルメ)は血まみれになって倒れているディオニスとその息子クレットを見つける。クレットは「ピトルリウア……」という言葉を遺して息絶える。ピトルリウアとは、村に伝わる、洞穴に住む羽をはやした怪物の名前だった。現場の状況から殺人と断定した警察は、アンドレウの父ファリオルに容疑をかける。鳥の鳴き声大会を開くため鳥を飼っている父だが、以前から政治的な活動により村人たちから快く思われていないのも合わさり、姿を隠すことにする。母(ノラ・ナバス)は工場に働きに出ているため、アンドレウは祖母の家に身を寄せる。祖母の家に同じく身を寄せる、事故で左手を失った従妹のヌリア(マリナ・コマス)らとともに新しい学校に通いはじめる。ヌリアは学校で、教師と関係を持っており娼婦の家系であると罵られていた。ヌリアが裸でベランダに立つところを偶然目にしたアンドレウは、ヌリアの秘密を共有することで連帯感を強める。屋根裏から気配を感じたアンドレウがヌリアから手渡された鍵で屋根裏部屋を開けると、そこには父が隠れていた。父が同じ屋根の下にいたことに驚くアンドレウ。突如警察が祖母宅に押し入り、父は裕福な農場主のマヌベンスに話すよう伝え連行される。その言葉通りにマヌベンス夫人に面会し父の無罪を訴えるアンドレウと母。マヌベンスは父のために町長(セルジ・ロペス)宛に手紙を書いてくれたが、その手紙を届けに行くと、横恋慕していた町長は弱みにつけこみ母を手篭めにする。さらに、ぼろぼろの姿で村をさまようディオニスの妻に出会ったアンドレウは、父がディオニスとともにマヌベンス夫人の弟と肉体関係を持ったマルセルという青年に残酷な罰をくだした過去を告げられる。いよいよ死を覚悟した父から、マヌベンス夫人への手紙を託されるアンドレウ。数日後、彼はマヌベンス夫人から学費援助の申し出があったことを知る。父は母の必死の擁護にも関わらず死刑に処せられる。そして、さらにある事実を知り、あまりにも多くの人間の闇を見聞きしたアンドレウは、ある決断をする――。
監督、脚本
原作
製作、製作総指揮
撮影
音楽
編集
衣裳デザイン
メイク
ヘアメイク
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