ユ・ジュンサン
ソンジュン
ミステリアスな雰囲気の美女と映画監督が、お互いに惹きつけられながらも一緒にいることが出来ない感情の揺れをモノクロの映像で描く「アバンチュールはパリで」のホン・サンス監督作。出演は「黒く濁る村」のユ・ジュンサン、「私の男の女」のキム・サンジュン、「友へ チング」のキム・ボギョン。「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」で上映される1本。
冬、今にも雪が降るような寒さの中、先輩に会うためにソウルを訪れた映画監督ソンジュン(ユ・ジュンサン)は、早速彼に電話をするが全く出ない。来る前に電話すれば良かったと後悔しながら、行く所もなく一人酒を飲んでいると、ソンジュンの作品を観たことがあると言う3人の映画学生たちが声をかけてくる。ひとしきり映画論で盛り上がり、次の店で騒ごうという話になるが、ソンジュンは学生たちを置いて、2年前に別れたキョンジン(キム・ボギョン)のアパートを訪ねる。キョンジンは、突然現れたソンジュンをなじるが、どうやらまだ未練があるようだった。ただの暇つぶしか未練なのかわからないまま一夜を過ごし、やっとヨンホ先輩(キム・サンジュン)に会えたソンジュンは、彼の連れてきたポラム(ソン・ソンミ)という映画学科の教授と共に誘われるまま食事をし“小説”というバーに流れる。ヨンホは認めないが、彼はどうやらポラムに気があるようだ。そのバーはいつも客が先にいて、後からママがやってくる不思議な場所だった。遅れてやってきたママ、ソン・イェジョン(キム・ボギョン)を見たソンジュンは、昔の恋人そっくりの彼女にたちまち魅了される。ソンジュンは店にあったピアノをつま弾いたり、タバコを吸うために店の外に出たり落ち着かない夜を過ごす。翌日、再びバーを訪れたソンジュンは、買い物に行くママと一緒に外に出て、夜の路上に雪が舞う中、当然のごとくキスをする。そしてまた翌日、ソンジュンはバーを訪れ、お客が帰った後、ソンジュンは彼女と一夜をともにするが、翌朝、ふたりはもう会わないという約束をして別れるのだった……。
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