スペンサー・トレイシー
Fred
「我は海の子」「激怒(1936)」のスペンサー・トレイシー、「情熱への反抗」のグラディス・ジョージ、「空駆ける恋」「豪華一代娘」のフランチョット・トーンの三人が主演する映画で、ウィリアム・ジョイス・コウエン作の小説を「ターザンの逆襲」のシリル・ヒュームがリチャード・メイボウム及びモーリス・ラッフと協力脚色し、「夕陽特急」「座り込み結婚」のW・S・ヴァン・ダイクが監督に当たり、「我は海の子」「腕白時代」のハロルド・ロッソンが撮影した。助演者はエドガー・ダーリング、メアリー・トリーン等である。
サーカスの呼び込みをしていたフレッドと、田舎町である店の帳簿係をしていたジミイは、米国が欧州大戦に参加した1917年、新兵として初めて訓練所で顔を合わせ、以来二人は非常な親友となった。ジミイは神経質で臆病な性質だったので、フレッドは何とかしてこれを治してやろうと指導したお陰で彼は臆病に打克って銃を取っては隊随一の名手となった。早く戦線へ出たいと言うジミイの念願は満たされて、フレッドと共に戦線を馳駆し天晴れな手柄をたてたが、銃を持たぬ時の彼はやはり意気地がなかった。ジミイが戦傷を負って入院した時、彼を見舞ったフレッドは看護婦のローズと知り合いになり相愛の仲となったが、ジミイの経過も良好となったので再びフレッドは戦線へ出発した。その後フレッド所属の軍隊が病院の所在地に引き上げて来たが、彼の姿は見当たらずローズとジミイは彼が戦死したものと信じた。フレッドはしかし敵の捕虜となっていたのだった。しばらく脱走してジミイと会った時、彼はローズがジミイと結婚することを聞いて驚いたが、ローズはフレッドを訪れ自分の真意を打ち明けジミイとの結婚を解消しようとした。フレッドは自分の恋を犠牲にする決心をして、既に妻のある身だと偽ってローズの怒りを買い二人は別れた。その後数年を経たある日、サーカスの旅興行主となったフレッドは、ジミイ夫婦の住んでいる町へ来た時、ホテルでジミイと面会したが、彼と別れて間もなく、かつて二人の上官であり今は探偵となっているメッドゥラーク軍曹に会った。探偵の語る所によるとフレッドがホテル前の道路で見た惨死体は、誰か射撃の名手にホテルの窓から撃たれたものに違いないと言うのである。フレッドはこれをジミイの仕業と見て夫婦の行動を調べると、ジミイはローズの虚栄心を嘆き、そのために犯罪をなしたと告白した。しかしローズは何も知らず夫を堅気の職業と思い込んでいたのだった。彼女は夫の悪事を止めるために警察に密告したので、ジミイは逮捕されて入獄した。彼女は彼を待っていると泣いて嘆願したが、仲間の迫害を恐れてフレッドが彼女を引き取ったことを聞くと、怒りに燃えて脱獄しローズを連れて逃げようとした。フレッドは友情を以て彼を叱咤し説き聞かした。俄然として目覚めたジミイは銃を棄て自ら警官隊の銃の前に立って最後をとげた。
Fred
Rose_Duffy
Jimmy
Sergeant_Meadowlark
Saxe
Laro
Judge
[c]キネマ旬報社