日本初の超高層ビル“霞が関ビル”を始め、新宿副都心など数々の超高層ビルの設計を手掛けた台湾出身の建築家・郭茂林の半生を追ったドキュメンタリー。2012年春に他界した彼が2010年秋に90歳で故郷・台北を訪れた時の様子なども収め、日本の発展に大きく貢献してきた建築家の実像に迫る。監督は「台湾人生」の酒井充子。
ストーリー
1965年、日本中が前年に行われた東京オリンピックの余韻に浸る中、前代未聞の超高層ビルの竣工式が行われた。まだ高さ制限31mだった1960年代前半、このビルの建築チームにリーダーとして参加したのが、戦前に台湾から海を渡り、戦後も日本に残った建築家・郭茂林だった。それから4年。1968年(昭和43年)に日本初の100メートルを超す超高層ビル“霞が関ビル”が誕生。これをきっかけに、日本は一気に超高層時代へ向かう。東京大学で建築を研究し、精鋭メンバーを率いてこの巨大プロジェクトを成功へと導いた郭は、当時の建築基準法改訂にも尽力。H型重量鉄骨の開発、各種建築新工法などを考案し、数々の超高層ビル建設に参加する。浜松町の世界貿易センタービル、新宿の京王プラザホテル、池袋のサンシャイン60……。彼の手による建築物は、次々と日本一の高さ記録を更新。そして、新宿副都心開発を手掛けた後、台湾の台北駅前にある新光三越ビルも設計し、初代台湾人総統の李登輝と共に台北の都市開発を推進する。数えきれないほどの実績を積み重ねながらも、売名行為をせず、常に第一線を走り続けた建築家・郭茂林とはどんな男だったのか。2010年秋、90歳を越えて故郷・台北を訪れた郭は、そこで自分の半生を見つめ直し、建築家としての原点を探す。2012年4月、帰国後90歳にて永眠。常に未来を見据えてきた建築家の半生を振り返る。
スタッフ
監督
酒井充子
ナレーション
磯部弘
撮影
松根広隆
音楽
オフィスチャオ
編集
糟谷富美夫
録音
今村寿志
企画
加藤美智子
プロデューサー
高木章
プロデューサー
栗原謙
製作委員
田代實範
製作委員