第二次世界大戦中に東京・千代田区にある日比谷図書文化館等から約40万冊の蔵書を疎開させた人々の思いを追うドキュメンタリー。2012年に上映された「40万冊の図書」に変更を加えた作品。長岡空襲で被災し大学卒業後国立国会図書館で司書として勤務した経験のある阿刀田高、東京大空襲を経験した早乙女勝元の両作家や、蔵書疎開に参加した生徒、蔵書をかくまった土蔵の持ち主らの証言を通し、文化を守ろうとする必死の思いを浮かびあがらせる。監督は「パーフェクト9~ある身体障害者野球チームの記録~」「ある同姓同名者からの手紙」の金高謙二。「臨場 劇場版」「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」の長塚京三がナレーションを担当。
ストーリー
第二次世界大戦時下の1943年、厳しい戦局に際し、日本各地の図書館は疎開を検討し始める。1944年に東京・千代田区にある日比谷図書文化館の館長となった中田邦造は、東京市中の他箇所にある貴重な図書資料を買い上げ、日比谷図書館の蔵書の一部と合わせて約40万冊以上の本を奥多摩の農家へ疎開させる。人手や道具が足りない中、蔵書の運搬に当時の都立一中や高輪商業の生徒たち約50名が尽力した。1945年5月25日の空襲で日比谷図書館とともに残された約20万冊は失われたものの、江戸城の築城に関する『江戸城造営関係資料』など国の重要文化財や『南総里見八犬伝』の滝沢馬琴自筆稿本をはじめとする疎開させた本は戦禍をくぐり抜けた。時が変わって現代、図書館のない福島県飯館村がインターネットを通じて呼びかけたところ全国から5万6千冊もの絵本が寄せられるが、東日本大震災が発生。善意で贈られた絵本は村に取り残される……。