アイリーン・リッチ
Mme._Cartier
ヴイクトリアン・サルドォウ作の舞台劇に基づいてレックス・テイラー氏が書き卸した脚本によって、ポール・スタイン氏が監督したものである。主役は「ひとときの情火」「愁いの明星」等と同じくアイリーン・リッチ嬢とハレトリー・ゴードン氏で「陽気なパリっ子」「美人帝国」等出演のリリアン・タッシユマン嬢、オーテイス・ハーラン氏、ウィリアム・デマレスト氏等が共演している。
ジャック・カルデイエ夫妻は結婚第7年の祝賀会を催した。彼らは結婚して以来既に7年にもなるが、子供も出来ず金に不自由なく暮らしていた。ジャックは不知不識の間にこの波瀾のない結婚生活に何となく倦怠を覚えていた。それで結婚記念祝賀会にももちろん殆ど感与は湧かなかった。ところがスユザンヌという色っぽい浮気らしい美人がこの祝賀会の席上に姿を現すや否や、ジャックの倦怠はいつか好奇とかわったのである。そしてスユザンヌに首ったけ惚れているロイをさしをいて、ジャックはスユザンヌに話を持ちかけると、何うやら気がある様子。かくて話がついた2人は手に手をとって好い気になって羽目をはずして大騒ぎした。憤慨したカルテイ夫人は負けぬ気でロイを伴って遊びに出た。斯くて夫婦がお互いにあらぬ女、あらぬ男と手を取り合っているのを見合せると矢張り面白くもないとしか感じない。揚げ句が売り言葉の買い言葉で到頭離婚訴訟というどん詰にまでなった。ところがこの事件の係り裁判長というのがカルテイエの親友の好々爺で、2人の仲を元々通りにしてやろうと考え、仮裁判で離婚許可の判決を与えた。それが本当の判決と早合点したカルテイエとスユザンヌ、夫人とロイとは早くも新婚旅行に出掛けた。これは大変と粋裁判長はあわてふためいて跡を追い、危ういところで2組の男女を捕らえて不心得を諭した。両方共別れてしまって見ると、元木にまさるうら木なしの感を抱きかけた折柄、わたりに船とカルテイエ夫婦は元の鞘に納まった。そしてロイも思い叶って目出度くスユザンヌと結婚した。
Mme._Cartier
Jacques_Cartier
Suzanne
Magistrate
Roy_Valerian
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