監督、脚本、ナレーション、撮影、編集
元NHKアナウンサーで、NHK時代には『ニュースウォッチ9』や『Bizスポ』を担当していたジャーナリストの堀潤が、サンタスサーナ原子炉実験場、スリーマイル島原発、福島第一原発と、日米3か所で起きたメルトダウン事故の実態について追うドキュメンタリー。深刻なメルトダウン事故が発生していながら、十分な報道がなされておらず、時間とともに問題意識が薄れつつある。収束まで非常に長い時間を要するメルトダウン事故の決して忘れてはならない現実をカメラは映し出す。堀潤は本作の監督、脚本、撮影、編集、ナレーションを担当。また、劇中には坂本龍一&U-zhaanの『ODAKIAS』、upoluの『Ambient!』、青木健の『想い出す頃』『namida』が使用されている。
ストーリー
1959年に起きたサンタスサーナ原子炉実験場事故、1979年のスリーマイル島原発事故、そして2011年の福島第一原発事故は、いずれも深刻なメルトダウン事故を引き起こしながら、十分な報道がなされてこなかった。特にサンタスサーナ原子炉実験場事故はマスメディアでの報道がほとんどされず、ガンや白血病など放射線被曝由来と思しき病気に罹患した地元住民がひっそりと原因究明にあたっていたが、一般には知られていなかった。EPA(米国環境保護庁)は事故から50年以上経った今でもなお空間線量が高いことを認め除染も約束するが、DOE(米国エネルギー省)は原子炉メルトダウンと個々の疾病との因果関係は明らかではないと被曝住民の訴えを退ける。スリーマイル島周辺では、事故当時の汚染地図と被害状況を語っていこうとされている一方、新たに移住してきた者や若者たちは被ばくについて関心を持っていなかった。時とともに事故や被ばくについての問題意識は薄れつつある。福島第一原発事故では、インターネットがマスメディアに先んじて実態について報じた。政府は原子炉爆発を回避するために放射性物質を含む蒸気をベントによって放出する際、放射能量の数値を公的に発表せず、住民の中には実情を知らないまま放射線量の高い地域に避難してしまった者もいる。原発安全神話にあぐらをかき、事故発生時の対応の策定が不十分だったことが明らかになっていく。国や東京電力の予測では、原発事故の収束作業に40年かかるとしている。次世代にまで関わっていくこの問題の、決して忘れてはならない現実を浮き彫りにする。