笠智衆
平山周吉
小津安二郎生誕110年として小津監督の名作「東京物語」をデジタル修復したニューデジタルリマスター版。撮影チーフ助手を務めた川又昂の監修の元、4Kスキャニングによるマスターを一コマ単位でデジタル修復。音声も小津監督の監督助手を務めた田中康義監修の元清水和法により修復が行われている。2011年4月4日NHK BSプレミアム「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」で放映された。その後2013年ベルリン国際映画祭Berlinale Classics部門出品用に更に修正が行われている。2013年11月23日より、東京・神田 神保町シアターにて開催された「生誕110年・没後50年記念 映画監督 小津安二郎」にて上映。
周吉、とみの老夫婦は住みなれた尾道から二十年振りに東京にやって来た。途中大阪では三男の敬三に会えたし、東京では長男幸一の一家も長女志げの夫婦も歓待してくれて、熱海へ迄やって貰いながら、何か親身な温かさが欠けている事がやっぱりものたりなかった。それと云うのも、医学博士の肩書まである幸一も志げの美容院も、思っていた程楽でなく、それぞれの生活を守ることで精一杯にならざるを得なかったからである。周吉は同郷の老友との再会に僅かに慰められ、とみは戦死した次男昌二の未亡人紀子の昔変らざる心遣いが何よりも嬉しかった。ハハキトク--尾道に居る末娘京子からの電報が東京のみんなを驚かしたのは、老夫婦が帰国してまもなくの事だった。脳溢血である。とみは幸一にみとられて静かにその一生を終った。駈けつけたみんなは悲嘆にくれたが、葬儀がすむとまたあわただしく帰らねばならなかった。若い京子には兄姉達の非人情がたまらなかった。紀子は京子に大人の生活の厳しさを言い聞かせながらも、自分自身何時まで今の独り身で生きていけるか不安を感じないではいられなかった。東京へ帰る日、紀子は心境の一切を周吉に打ちあけた。周吉は紀子の素直な心情に今更の如く打たれて、老妻の形見の時計を紀子に贈った。翌日、紀子の乗った上り列車を京子は小学校の丘の上から見送った。周吉はひとり家で身ひとつの侘びしさをしみじみ感じた。
平山周吉
平山とみ
平山幸一
平山文子
平山実
平山勇
金子志げ
金子庫造
平山紀子
平山敬三
平山京子
服部修
服部よね
沼田三平
隣家の細君
アパートの女
敬三の先輩
美客院の助手キヨ
[c]キネマ旬報社