アラン・ヘイル
Flash
ハル・コンクリン氏のオリジナル・ストーリーの映画化で、かつて脚色者たりしテイ・ガーネット氏が監督したものである。脚色はコンクリン、ガーネットの二氏がこれに当った。主役を演ずるのは「空の鍛冶屋」「オグレス」のアラン・ヘール氏と「曙光の森」「ミシガン小僧」のルネ・アドレー嬢との二人であるが、それを助けて「女の一生」「非常線(1928)」のフレッド・コーラー氏と「ニューヨークの波止場」「港々の女難想」のクライド・クック氏とが重要な役を演じている。この映画は無声、発声の両種が輸入せられているが、発声の方は伴奏、擬音を主とした部分トーキーである。
フラッシュとリュークの二人はスリで、とある見世物に喰付いて巧妙な手業と敏捷な才智とによって生活を続けていた。父の死後見世物を受け継いだダルゼルのクレオはスリのフラッシュを見付けて自分の用心棒として雇った。乃でクレオは見世物の廻りで稼いでいる悪漢共に挑戦した。リュークも一緒に見世物の綱渡りとして働くことになった。悪漢の団長レッド・ムーンは向こう見ずの腕節の強い男でクレオに対して何をしでかすか解らないので、リュークとフラッシュはレッドを諭しに行った。その時レッドは彼らに町のお豪い連中はすっかり抱き込んであるし、クレオの公にした正直な政策は却って彼女の見世物をいろいろの悪漢共の安全な仕事場にしてくれたと言った。淫らなフラッシュは始めクレオに嫌らわれていたが間もなく彼女を尊敬するようになって、彼女の見世物の仕事や芸を監視するようにまでなった。悪人であったフラッシュはクレオの親切な心使いによって身を固めた。しばしば二人は夜の仕事を終えて後食事を楽しむことがあった。しかして間もなくお互に恋し慕う仲になった。時にレッドの悪漢共が彼女の金庫を盗み出し、支払不能にさせしかして見世物まで無理矢理に彼らの手に収めようとしていることが解った。フラッシュはレッドにそうさせないように警告したが却ってレッドはフラッシュに窃盗の嫌疑を着せた。そこでクレオはフラッシュに愛想をつかす。リュークは図らずも、レッドと手下とが金庫を盗み出した一件に就いて話し合っているのを聞きクレオに告げんとしてレッドに射殺された。フラッシュは怒って単身レッド一味を向こうに廻して戦い、彼らを葬る。晴天白日の身となったフラッシュは改めてクレオの愛を勝ち得た。
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Cleo
Red_Moon
Luke
The_Barker
The_Rabbit
Butch
Bearded_Lady
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