監督
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県・松島基地に所属する自衛隊のアクロバット飛行チーム、ブルーインパルスを2年間取材したドキュメンタリー。別の基地にいたため被害を逃れた彼らが、復旧活動と再び飛ぶことへの葛藤を抱きながら、訓練を重ねる様子などを描く。監督は、「戦国自衛隊1549」の手塚昌明。
ストーリー
1960年に創設されたアクロバット飛行チーム、ブルーインパルスは、航空自衛隊の第4航空団第11飛行隊として宮城県の松島基地に所属している。2011年3月11日、松島基地は東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受ける。滑走路は使用できず、航空機のすべてが流され使用不能となった。ブルーインパルスも機体を持たない部隊として解散となるはずだったが、翌日のイベントのために機体と人員を九州・福岡の芦屋基地に移動していたため生き残った。松島基地の航空機で残ったのは、ブルーインパルスのT-4だけだった。交通機関が麻痺しているなか、隊員は輸送機とバスを乗り継いで被災地へ向かった。被災した家族を持つ者も少なくなかったが、彼らは被災地の救援活動を優先させた。華麗なアクロバット飛行をしていた隊員たちは、自転車で移動し、住民への給水活動や民家の家財道具の運び出しなどに励んだ。2ヶ月後、ブルーインパルスは芦屋基地で訓練を再開する。悪天候のため、思うように技能を取り戻すことができない。しかも、住む場所もなく苦労している被災地の人たちを思うと、自分たちは飛んでいていいのかと自問自答を繰り返す日々だった。松島の人たちは、救援機以外の音がしなくなった町で、再びブルーインパルスが飛ぶことを望んでいた。それは、町が元通りになることを意味するのだ。震災から4ヶ月、復興を願って開催された元気祭りのイベントとして、ブルーインパルスは被災地・東松島の空を飛んだ。予想を超える大勢の人たちが集まり、歓声を上げた。ブルーインパルスは、自分たちがかつてのように飛ぶことは、震災を乗り越える勇気を示すことだと自覚するようになった。しかし、訓練時間は不足し、以前同様のアクロバット飛行をすることはできない。しかし、彼らの帰還を待つ人たちのため、ブルーインパルスは空に向かって飛び続けた。
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