ベアトリス・ダル
Betty
作家を目ざす青年と情熱的な若い女との激しい愛の軌跡を描いた、ジャン・ジャック・ベネックス監督作「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」(1986)のディレクターズ・カット版。青年ゾーグの描写を中心に約1時間の未公開シーンを復元している。出演はベアトリス・ダル、ジャン・ユーグ・アングラードほか。日本公開時映倫審査によりいくつかのシーンで修正が施されたことに不服をもったベネックス監督が抗議のため来日する一幕があった。2002年に1箇所を除いて無修正となった「ノーカット完全版」のDVDが日本でリリースされている。
35歳のゾーグ(ジャン・ユーグ・アングラード)は海辺の小さな村でバンガロー500軒の壁面にペンキを塗って生計を立てていた。そんな彼の前にキュートな女ベティ(ベアトリス・ダル)が現われ、たちまち激しい恋に陥った。ベティはウェイトレスをしていたが、マスターがイヤで、カバン一つでバンガローにやってきたのだった。ゾーグの雇い主(クロード・コンフォルト)は、ベティを迷惑がり、彼女の方も彼を嫌った。くる日もくる日も単調なペンキ塗りで過ぎてゆくことに耐えられなくなったベティは、ヒステリーを起こして家具や食器を外に投げつけてしまう。その時に段ボール箱に入っていたゾーグの日記風の小説を発見し、徹夜で読んだベティは、すっかり感動、彼に小説家になることをすすめる。その時からベティのゾーグを見る目が変わった。遂にベティが雇い主とケンカし、バンガローにガソリンをまき火をつけてしまう。パリに向かった2人は、ベティの親友リサ(コンスエロ・デ・ハヴィランド)の家にしばらく住むことになった。そこでベティは、ゾーグの肉筆の原稿をタイプし出版社に送るために毎日タイプライターに向かう。リサの恋人エディ(ジェラール・ダーモン)とすっかり意気投合したゾーグは、エディの経営しているピザの店“ストロンボリ”でベティと共に働くことになった。出版社から返事がこないのでイラついたベティは、やっときた返事が冷酷だったため、それを書いた編集者を傷つけてしまう。やがてエディの母が死んだという電話が入り、みなはエディの故郷に向かった。静かなその小都市でしばらく自然の空気に触れた2人は、その家でしばらく生活することになる。ゾーグは新しい小説を書き始めた。平穏でしあわせのはずの2人の生活は、しかし、微妙に崩れはじめていた。ベティの神経が病んできたのだ。彼女は妊娠テストを受けて、子供の生まれるのを楽しみにしていたが、ある日ゾーグが帰宅すると、妊娠テストの結果が陰性で子供はできないと書かれた医者のカルテを発見した。激しいショックを受けたベティは、ピエロのような化粧をし目もうつろになった。その日からますます狂い出したベティはついに自分の目をえぐるという惨事をまねいてしまう。虚脱状態のまま廃人同然となった彼女。その直後、皮肉にもパリから電話で例の小説を印税10%の契約で出版したいと言ってきた。やっとツキが回ってきたのにベティにそのことを報告しても反応はない。ベッドに縛りつけられたまま身動きできずにいる彼女に耐えられなくなったゾーグは、女装して病院に行き、枕を顔に押しあてて彼女を窒息死させる。ゾーグは再び小説を書き始めた。彼のことをじっと見つめているのは、2人で可愛がっていた猫だ。どこからともなくベティの声が、ゾーグには聞こえた。
Betty
Zorg
Lisa
Eddy
Annie
Bob
Landlord
L'editeur
Le petit Nicolas
Le commissaire
監督
脚本、原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
メイクアップ
[c]キネマ旬報社