「わが母の記」の女優・樹木希林が、20年に一度の式年遷宮を行う伊勢神宮や、ゆかりの場所を訪ねる旅を追ったドキュメンタリー。東海テレビでドキュメンタリー番組『福祉番長!』などを手掛けた伏原健之がテレビ番組として監督し、劇場公開版として再編集した。音楽は、「銀の匙 Silver Spoon」の村井秀清。
ストーリー
70歳の女優・樹木希林が、20年に一度の式年遷宮を行う三重県の伊勢神宮へ初めて参拝の旅に出る。2013年7月、遷宮を3ヶ月後に控えた伊勢神宮では、すでに建て替えが始まっていた。鉄道がない時代、船で伊勢湾を渡りお伊勢さんに参ることを船参宮といった。昔ながらの木造の参宮船は今でも乗ることができる。伊勢の南、鳥羽市国崎町で獲れたアワビは、大昔から伊勢神宮にお供えされてきた。地元の海女さんの守り神・石神さんは、女性の願い事なら一つだけ叶えてくれることで知られている。式年遷宮ではすべてのお社を建て替えるため、たくさんのヒノキが必要である。式年遷宮のためのヒノキは、400年前からほとんど木曽で切り出されている。お伊勢さんを囲む神宮林は、伊勢市全体の4分の1の広さを誇る。鎌倉中期までは遷宮のためのヒノキはこの森から切り出されていたが、江戸時代、参拝者が増えるにつれ薪や炭のために切り出されるようになり、森は悲鳴を上げた。大正12年、毎年2万本ずつ植林する神宮森林経営計画が始まったが、森が元通りになるのは100年先だという。地元の人々が伊勢神宮につながる五十鈴川を渡って、御正殿の周りに敷き詰める石を運ぶお白石持行事。神様が住まう新しいお社を人々が間近で見られるのは、このときだけである。2ヶ月間思いを巡らせていた希林さんは、歌人・岡野弘彦さんがお伊勢さんに捧げた68年の和歌、「あまりにもしづけき神ぞ 血塗られし 手もつなぐなふ 術をおしへよ」に出会う。兵隊として自爆訓練に明け暮れ、敗戦を迎えた岡野さんのやるせない思いが込められている。宮城県石巻市雄勝町の小さな入り江に、伊勢の神宮林の貴重なヒノキで再建された新山神社がある。震災で離れ離れになった人々が、秋祭りに集まってくる。2013年10月、夜8時。遷御の儀が始まり、御霊が新正宮へ遷っていかれる。翌日、白い御幌がかかった新正宮へ希林さんが近づいていくと、風が吹いて御幌が舞い上がる。
スタッフ
監督
伏原健之
撮影
中根芳樹
撮影
谷口たつみ
音楽
村井秀清
編集
奥田繁
効果
久保田吉根
プロデューサー
阿武野勝彦
音楽プロデューサー
岡田こずえ
音声
福田健太郎
取材
佐藤岳史
TK
須田麻記子
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
[c]東海テレビ放送
[c]キネマ旬報社