アン・ソンギ
イ・テ
朝鮮戦争前後、韓国の山岳地帯で韓国軍に抵抗してゲリラ戦を行ったパルチザン“南部軍”の実態を描いた戦争映画。記者として南部軍に加わったイ・テの手記が原作。出演は「折れた矢」のアン・ソンギ、「燃ゆる月」のチェ・ジンシル。監督は「折れた矢」のチョン・ジヨン。1990年の製作から24年を経て、日本で劇場公開。
朝鮮戦争前後の時代。韓国南部の智異山を拠点に、韓国軍に抵抗したパルチザン“南部軍”。1945年、日本による占領から解放されたことをきっかけに盛り上がりを見せた社会主義運動がアメリカの軍政によって非合法とされ、運動家たちが山岳地帯に潜伏。これが南部軍のルーツとなった。1948年に北緯38度以南での単独選挙が実行されると、祖国分断に繋がるとして、大韓民国の建国に反対する人々の抵抗が激化。彼らは北朝鮮の工作員を意味する“共匪”と呼ばれたが、実際には必ずしも北朝鮮のシンパではなく、共産主義者とも限らなかった。むしろ、無色透明の個人が、二転三転する戦局の中で分断国家に取り込まれ、思想的に色分けされて行った結果だった。長らく歴史上のタブーとされ、朝鮮半島が経験した悲劇の縮図ともいうべきこの南部軍に参加した人々の人間模様、その果てに彼らが辿った運命を描く。