エドワード・エヴァレット・ホートン
Richard_Smith
「全米軍」「死の航空路」のラッセル・マックが監督した映画でA・E・ウッヅ作の舞台劇に基づき「彼女の用心棒」「命を売る男(1931)」のウォルター・デレオンが脚色している。主役は「坊やはお休み」「恋の手ほどき(1933)」のエドワード・エヴァレット・ホートンが勤め相手役は「キング・オブ・ジャズ」のローラ・ラプラント、「最後の一人まで(1933)」「南方の放浪者」のエスター・ロールストンで、パッシー・ルス・ミラー、スペンサー・チャータース、モード・エバーンなどが助演する。撮影は「天晴れ競馬で一つかみ」「ペインテッド・デザート」のエドワード・スナイダーの担当である。
リチャード・スミスはいわゆる「ジキル博士とハイド」型の人間の1人であった。昼間は非常に勤勉で敏腕な弁護士であるが時計が夜の8時を打つと、とたんに正確が一変して家庭にじっと落ち着いていることができない。若く美しい妻マデラインを家に残して夜毎に紅燈の巷へ彷徨い出るのであった。しかも彼の名声は、妻を無視した夫を殺した1婦人の事件を取り扱った彼の名演説「淋しき妻」によって益々高くなったのであるから妙なものである。彼が新しく雇い入れた女秘書ミンター嬢の女友達にダイアナと呼ぶ美しい女優があったが、彼女も夫の夜毎の外出を嘆く淋しい妻の1人であったのでミンター嬢の紹介によって名弁護士スミス氏に相談をする。ところが不幸にも彼女の訪れたのが夜の8時過ぎであったので、スミス氏はナイトクラブでゆっくり御相談しましょうと約束をしてしまった。ダイアナの夫「偉大なるゼロ」と呼ばれる役者は時の名弁護士スミス氏をその舞台で演ずるので、その扮装を習いにスミス氏を訪れたが、それがあまり真に迫り過ぎていたのでスミス氏は自分の身代わりに彼を書斎に残して、ナイトクラブへ出かけて行くがゼロが巧くスミス邸を抜け出せないでいるうちに外出からスミス夫人が帰って来て、止むを得ず鍵のかかった同じ寝室に眠らなければならなかった。翌朝になってスミス邸には2人のスミス氏が存在することから波乱が起こり、そこへダイアナが夜会服のまま訪ねて来たために事件は紛糾する。しかしスミス夫人が自分の夫が偽物であることを前夜早く見破っていたことがわかったので、事件は円満解決したのであった。
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