ベヘルーズ・ヴォスギー
ゲンザイノサヘル
「酔っ払った馬の時間」で第53回カンヌ国際映画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)を獲得、「ペルシャ猫を誰も知らない」以来亡命生活を続けるバフマン・ゴバディ監督が、異国トルコで撮りあげた人間ドラマ。詩人サデッグ・キャマンガールの体験談をベースに、混沌の中をさまよう登場人物たちの心象風景を圧倒的な映像美の中に映し出していく。不当に逮捕され妻への愛をよすがに30年もの間拷問に耐えてきた詩人を「ゲイサー」でスターになるもイラン革命後映画界から遠のいていたベヘルーズ・ヴォスギーが、運命に翻弄される彼の妻を「マレーナ」のモニカ・ベルッチが、歪んだ愛から大罪を犯す男をトルコ系クルド人のユルマズ・エルドガンが演じる。
1977年、イランの首都テヘラン。詩集『サイの最後の詩』を出版したクルド系イラン人の詩人サヘル・ファルザン(カ ネル・シンドルク)は、司令官の娘である妻ミナ・ダラクシャニ(モニカ・ベルッチ)とともに仲睦まじく暮らしていた。ミナの家の運転手アクバル・レザイ(ユルマズ・エルドガン)は横恋慕し、激情にかられてついにミナに告白。そのためにアクバルは集団暴行を受け、夫婦から離される。1979年、イスラム革命が起こり体制が一変。ミナに執着するアクバルは事実無根の密告をし、サヘルは反体制的な詩を書いたとして国家転覆罪で逮捕され禁固30年の刑に、ミナも共謀罪で禁固10年の刑に処せられ、別々の刑務所に連行された。アクバルは新政府の指導者的存在という立場を利用してミナに早期釈放を持ちかけるが、ミナが頑なにこれを拒んだため、逆上する。10年後、刑期を終え服役中に授かった双子の子供ともども出所したミナは夫の釈放を待ちわびていたが、サヘルが死亡したとの知らせが入ってくる。打ちひしがれるミナの前に、まだ思いを引きずるアクバルが姿を現した。2009年、30年もの間拷問を耐え抜き、サヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)が出所する。しかし彼は政府により死亡扱いにされていた。長年心身ともに痛めつけられ抜け殻のようになっていた彼だったが、最愛の妻ミナへの思いを胸に彼女の居場所を探す。ミナは子供たちとトルコに移住していた。アクバルとの関係を断ち切れないままサヘルの死を悼み続けるミナ。彼女を見つけながら近づけないサヘル。そんな中、サヘルは衝撃の事実を知る……。
ゲンザイノサヘル
ミナ
アクバル
ワカイコロノサヘル
ミナノフタゴノムスメ
ミナノフタゴノムスコ
監督、脚本、製作
撮影
音楽
編集
視覚効果
音響編集
日本語字幕
字幕監修
提供
[c]キネマ旬報社