パク・ヨンウ
ジュング
美術家とモデルの関係を描いた映画は多いが、本作は激動の60年代を舞台に、障害を持つ彫刻家と妻、そしてモデルの女性、それぞれのキャラクターが克明に描かれ、強い印象を残す。チョ・グニョン監督は映画美術ディレクターとしてキャリアを積んだのち、“26 Years”(13)で監督デビューした人物。ミラノ国際映画祭で大賞・撮影賞、それにミンギョン役のイ・ユヨンが主演女優賞を受賞した。劇場公開に先駆け、第27回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門にて「アトリエの春」の題名で2015年10月25日、26日に上映された。
1969年、ベトナム戦争が韓国にも暗い影を落としていた時代。全身の麻痺が進む難病を抱えた天才的な彫刻家ジュングは、妻ジョンスクの勧めで湖のある美しい村で療養している。創作を断念し、生きる希望も失った夫を見かねたジョンスクは、モデルを探して夫の創作意欲を回復させようと思い、村で見かけた若いミンギョンを連れてくる。ミンギョンはふたりの子持ちで、夫から虐待されていた。湖畔のアトリエでミンギョンをモデルに創作を再開したジョンスクは徐々に快復し、ミンギョンもまた生活の辛さから解放されて明るくなり、ふたりは親密になっていくが…。