監督
難病に苦しむ子供を抱えて生きる3つの家族にスポットを当てたドキュメンタリー。それぞれの家族の生きる歓びを通じて、生きることの意味や本当の幸せとは何かを問いかける。主題歌と作中の語りを担当したのは、ジャズシンガーの綾戸智恵。フリーで医療関係のテレビ番組などでディレクターを務めてきた高橋夏子が、映画監督に初挑戦。
ストーリー
“ムコ多糖症”を患った一人娘と向き合う志藤家。ムコ多糖症は、日々“退行”が進む進行性の病気。今日できていることが、明日になればできなくなってしまう。私たちは“成長”や“明日”というものを当たり前に考えがちだが、この病気では、一日一日を過ごすうちに、次第に衰えてゆく。元気いっぱいでいつも笑っていた娘が成長するにつれ、自力で歩けなくなり、喋れなくなり、笑顔も消えつつある。父はこのまま時が止まってほしいと願い、母は普通に過ごせる毎日が大事だと語る。その姿は、“いま”の有り難さを、“いま”の行動ひとつひとつの大切さを教えてくれる。塩川家の長男は、顔面にできた悪性の腫瘍“横紋筋肉腫”のため、世界でも稀な25時間にも及ぶ手術を受けて、眼球と顔の約半分を切除した。手術後、あまりにも変わり果て、機械に生かされているかのように闘う息子の姿を見て父母は、呆然とするだけだった。この難病を知るまでは欲しいものもあった父だが、今は何もないという。息子が命を張ってそれを教えてくれたと語る。母は、大切なものは一番近くにある、そのことに気付けるかが大事だという。苦難や試練を受け入れるとは一体どういうことなのか。“いま、あるもの”のキセキ、素晴らしさを教えてくれる……。米田家の次女ももちゃんは、兄の3度目の命日に“18トリソミー”という短命が宿命づけられた難病を背負って生まれた。呼吸も自分ではできず、聞くことも動くこともできない。当然、食事も自力では無理。“こいつは死んどるんですわ”と語る父親だが、冷酷そうに聞こえるその言葉とは裏腹に、娘を溺愛している。2週間ばかりの短い命でこの世を去った兄の命日に生まれたももちゃんについて、“この娘の命は、生かされた命なんです”と母親。ドン底からでも覚悟を決めれば、幸せな気持ちで生きることができる。その凄さを教えてくれる。
スタッフ
ナレーション
熊谷麻衣子
総指揮、企画、題字
大住力
撮影
橋本和典
音楽
KOTEZ(コテツ)
編集
安田奈土樹
編集
河村圭太
音響監督
小川武
CG作成
宮沢命
プロデューサー
近藤正典
アシスタントプロデューサー
水戸川真由美
主題歌、語り
綾戸智恵
カラリスト
小林弘典
制作統括
柴田礼子
医療監修
細谷亮太
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 2015年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を
- 初公開日
- 2016年2月6日
- 上映時間
- 90分
- 製作会社
- (企画製作:公益社団法人難病の子どもとその家族へ夢を)
- ジャンル
- ドキュメンタリー
[c]キネマ旬報社