2014年に急逝したスペインの天才ギタリスト、パコ・デ・ルシアの軌跡を追ったドキュメンタリー。12歳でプロデビュー。フラメンコ界に革命を起こし、ジャンルを超えて音楽ファンを魅了し続けたパコの栄光と挫折を、貴重な演奏映像を交えて映し出す。監督はパコの実の息子、クーロ・サンチェス。監督の姉妹であるルシア・サンチェス・バレラ、カシルダ・サンチェスもプロデューサー、脚本として参加。ギタリストのカルロス・サンタナ、ジャズ・ピアニストのチック・コリア、フラメンコの歌姫エストレージャ・モレンテらのインタビューも収録。
ストーリー
スペイン南部、アンダルシア州カディス県アルヘシーラスは英領ジブラルタルをはじめ、対岸モロッコのタンジェ、スペイン領セウタに向かう拠点で知られる。1947年12月21日、パコ・デ・ルシア(本名フランシスコ・サンチェス・ゴメス)は、この港町で生まれた。7歳でギターを手にし、抜群のリズム感覚に長けた少年は早く成長しギターで身を立て、貧しい家計を助けたいと願っていた。やがて12歳でプロギタリストとしてデビュー。2歳年上の歌手ペペとの兄弟コンビが話題となり、舞踊家ホセ・グレコのアメリカ公演へのオファーが舞い込む。ニューヨークに暮らす大先輩サビーカスのアドバイスを得て、パコは自らの音楽創造に目覚め才能を開花させていく。音の響きに対する執着、共演者への正確なリズムの要求など完璧主義者らしい飽くなき音楽探究の道のり。そして訪れたパコにとって唯一無二の相棒、天才歌手のカマロン・デ・ラ・イスラとの出会いと別れ。テレビ出演でのアピールをきっかけに、ルンバ『二筋の川』が国内全土で異例の大ヒットを記録するが、フラメンコ界にとって珍事ともいえるこの商業的成功はフラメンコからの逸脱との厳しい批判にさらされた。しかし37年の長きにわたり独裁政権を国民に強いたフランコの死去に伴い、国外から続々とアーティストがスペインへ来訪。伝統の殻に閉じこもっていたフラメンコにも否応なく新たな局面が訪れようとしていた。パコはジョン・マクラフリン、アル・ディ・メオラ、ラリー・コリエル、サンタナといったギタリストと共演、ジャズ・ピアニストのチック・コリアともステージを共有する。即興の可能性を見いだし、自由に旋律を紡ぐ技を手に入れたパコは自身の実験的セクステットを結成。斬新なフラメンコサウンドの開拓に挑み、18年間におよぶワールドツアーで極めて多忙な日々を過ごす。そして2014年、パコは幼い頃に親しんだ歌謡“コプラ”の名曲にスポットライトを当てた最新作『Cancion Andaluza』の録音に専念していた。だがこのアルバムが天才ギタリストにとっての遺作となる。2014年2月26日、滞在先のメキシコで心臓発作により急死。享年66。
キャスト
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 原題
- PACO DE LUCÍA: LA BÚSQUEDA
- 映倫区分
- G
- 製作年
- 2014年
- 製作国
- スペイン
- 配給
- レスペ
- 初公開日
- 2016年7月23日
- 上映時間
- 90分
[c]Ziggurat Films
[c]キネマ旬報社