エリッサ・ランディ
Marya_Kalish
マイケル・モートン作の舞台劇から「肉と霊」「春を歌えよ」のジュールス・ファースマンが脚色し、ガイ・ボルトンが台詞を付し、「各国の女」「再生の港」のラォール・ウォルシュが監督した映画で出演者の主なる者を挙げれば「鉄窓の女」「街の令嬢」のエリッサ・ランディ、「私の殺した男」のライオネル・バリモア、「最後の偵察」のウォルター・バイロン、ローレンス・オリヴィエ等。キャメラは「蜘蛛の怪」のジェームス・ホウが担当である。
マリヤ・カリッシュは高潔な性格で教養を彼女の父親から受け継いだ美しい娘だった。彼女の父は政治犯として聖ペテルスブルグの獄舎に投ぜられ重病のため死にかかっていた。この知らせが来たので彼女はペテルスブルグへ旅立とうとする。時の帝政主義者、時のロシアの法律は戒厳令によって彼女がユダヤ人なるがゆえに旅行を許さなかったので彼女は売春婦の鑑札を手に入れて都に向かう。その鑑札を持った女は他郷に入る時は一々それを当局に届出なければならないのを、彼女はペテルスブルグ到着と同時に父親の死に会ったため悲嘆の涙に閉ざされ、その結果届け出を忘れ、その科によって獄舎投ぜられたのであった。やがて刑期満ちて出獄することは出来たがこのために彼女は家に戻れなくなってしまった。困っている時、彼女にとっては父の敵、時めく秘密警察署長官ステファン・アンドレ伯とその甥ニコライ公に救われ、彼女はこの二人に保護をうけることになった。が、彼女が黄色の鑑札を所持していることが発見されるやニコライの心は離れていった。しかたなく彼女は化粧品会社の地方販売員になって身をすごすこととなった。汽車中たまたま帝政ロシア探訪のため派遣される若き英人記者のロルフと会い、二人は行き来するようになったが、それから頻頻とロシアの機密は英国で発表され始めた。アンドレ泊はこれがマリヤの口から洩れて行くのを知ってロルフと近づくことを禁じた。ロルフを愛するマリヤはその言葉をいれようとしなかった。時あたかも世界大戦の嵐はロシア本国をその渦中にまきこみれ彼女は本国政府の秘密を洩らしたというかどで、その筋から捕えられようとした。そしてそれを口実にあやうく危うくアンドレの野獣的な毒牙にかかろうとした時、これを知ったロルフは彼女を救いだし、官憲の激しき追跡を逃れ、英大使館の庇護のもとに飛行機に身を託し、ロンドンの都指して飛び去ったのである。
Marya_Kalish
Baron_Andrey
Julian_Relphe
Count_Nikolai
Nother_Kalish
Grandfather_Kalish
Melchoir
Orderly
Fania
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