女流棋士・香川愛生を主演に迎え、ゲームクリエイターのイシイジロウが監督・脚本・編集を務めた自主映画。同じ大学に通う女流棋士・賀川春に想いを寄せる大学生・沢田一二三は、彼女に目隠し将棋を挑む。だがそれが、春のある記憶を呼び覚ますことに……。共演は、舞台を中心に活躍する澤田拓郎。香川は主題歌も担当している。ENBUゼミナールによる特集企画『ドロップ・シネマ・フェスティバル vol.28』の一作品として新宿K's cinemaにて上映(上映日:2016年10月22日、25日)後、同年12月17日~12月23日にトリウッドにて公開。
ストーリー
緑山国際大学の学生・沢田一二三(澤田拓郎)は、同じゼミに通う女流棋士の賀川春(香川愛生)に想いを寄せていた。しかし、一二三にとって春は高嶺の花である上に、彼女は親しい友人もなく、将棋にしか関心のない心を閉ざした女性だった。話しかける機会もなかったある日、1人でベンチに座る春を見かけた一二三は、思い切って目隠し将棋を挑む。無意識に応じる春。だが、中盤に差し掛かった頃、春はある事に気付く。その棋譜は、春にとって忘れられない大切なものだった。“これはお父さんの封じ手……”。10年前。A級リーグで棋士として活躍する春の父・貴のタイトル戦当日の朝。春と貴は、2人で将棋を指していた。忙しい貴と過ごせる時間は春にとって宝物。少しでも親子の時間を引き伸ばそうと頑張る春。ところが、時間が迫った貴は対局を封じ手にして、帰宅後に続きをする約束をして出かけてしまう。そんな父に心ない言葉を投げつけてしまう春。“将棋が終わるまで一緒にいるって約束だったのに。お父さんの嘘つき。”悲しそうな表情を浮かべたまま車に乗り込む貴。その途中、遅れていた時間を取り戻そうと急いだ貴は、交通事故に遭って帰らぬ人となる。それ以来、父の死を自分のせいだと思い込んだ春は、将棋以外に心を閉ざしてしまったのだ。一方、一二三が春に惹かれたのは、テレビ番組での対局を見たことがきっかけだった。初めは春の外見に惹かれたものの、春と貴の事を調べるうちに将棋に興味が沸き、得意の記憶力を生かして貴の棋譜を暗記して目隠し将棋を挑んだのだった。一二三は貴が書いた本の中にある“過去の後悔を引きずる事なく、その局面局面で最善を尽くす”という言葉を春に思い出させようとしていた。棋譜の記憶だけで春に挑んだ一二三は終盤に崩れて完敗。だが、対局を終えた春は一二三に笑顔を見せ、“将棋会館で待っています”と言い残す。2人の周りには、今までとは違う風が吹いていた。
キャスト
スタッフ
監督、脚本、編集
イシイジロウ
撮影
飯野歩
音楽
坂本英城
録音
陣内優希
録音
蛭子一郎
録音
村上晶紀
録音、音響エンジニア
加藤浩義
録音、音響編集
仲村実鷹
録音
白澤亮
録音
小山翔
音響編集
佐藤聡
プロデューサー
大野聡
将棋監修
村中秀史
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
[c]キネマ旬報社