ジム・ハットン
Arnold_Masters
心霊現象を利用して大量殺人をたくらむ犯人と警部補の戦いを描く。製作はマーディ・ラスタム、監督は俳優のレイ・ダントン、脚本はダントンとグレイドン・クラーク、マイケル・エンジェルの共同、音楽はウィリアム・クラフトが各々担当。出演はジム・ハットン、ポール・バーク、ジュリー・アダムス、ネビル・ブランドなど。
精神病患者エミリオがある晩、ドラゴンの像が彫られ宝石が埋めこまれている不思議な形をしたメダリオンを凝視していた。翌日、エミリオは発作的に病棟から飛び降り、自殺した。そして妖しい光を放つメダリオンは病舎で唯一の仲間だったアーノルド・マスターズ(ジム・ハットン)が受けとった。エミリオの死を契機に不可解な殺人事件が続発した。法定精神鑑定員ポール・テーラー博士が片手に猟銃を持って死に、しかもその猟銃から発射された弾丸が額に命中していた。次に看護婦のマーサーがシャワーの蛇口から噴き出した熱湯を浴びて死んだ。数時間のうちに発生した2つの奇妙な殺人事件をかかえたジェフ・モーガン警部(ポール・バーク)は、部下のソーワッシュを現場に向かわせたが、その車は自動的にスピードをあげ、そのまま谷底に転落してしまった。モーガン警部補は3つの事件が偶然ではなく、何らかの脈絡があると考えた。そして今朝精神病院から釈放されたアーノルド・マスターズのことが頭に浮かんだ。彼は溺愛する母の病気を治してやろうと医師に相談したが手術代が払えず拒否された。その医師が何者かに殺されたとき彼は無実の罪をきせられ、潔白を主張すると今度は精神病院に強制入院させられた。病院にいる間、看護婦の不行届きで母が死に、家が不動産屋に買われていた。テーラー博士はアーノルドの精神異常を立証した人、マーサーは彼の母に付き添っていた看護婦、ソーワッシュは彼を逮捕した刑事だ。モーガンは色めきたち、部下にアーノルドを監視させるとともに、次の殺人を防ぐためにアーノルドの裁判に立ち合った人のリストアップした。しかし、またしても殺人が発生した。今度の犠牲者はアーノルドの家を買収した不動産屋のサンダースだった。モーガンはアーノルドの精神担当医だったスコット女史(ジュリー・アダムス)と共にアーノルドを訪ねた。アーノルドは死人のように深く眠っていたが眼をさますと、叫んだ。「レモノウスキーの店で特売がある」。3人はしまったと思ったが既に遅く、肉屋のレモノウスキーは肉裁断機で切りきざまれていた。アーノルドが再び深い眠りに入ると、モーガンは検死官に調査させた。彼は死亡状態にあった。モーガンはすぐアーノルドの死体を火葬場に運び、棺に火をつけた。その頃、スコットと心理学者のグブナー博士はメダリオンに全ての謎があると思い、アーノルドの家でそれを探索していた。スコットが2階の一室に入ると、そこにはアーノルドがいた。スコットに母の幻影を見たアーノルドは彼女に襲いかかった。しかし分離された肉体が焼かれていたためにくずれ折れ、そのまま動かなくなってしまった。それはメダリオンによって肉体と精神が分離したために起こった不可解な事件だった。
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