マール・オベロン
Kitty
「この三人」のマール・オベロン「恋は特ダネ」のジョージ・ ソンダース、舞台から来たレアード・クレガーが主演するスリラーで、マリー・ベロック・ローンズ作の小説からバリー・リンドンが脚色し、ウィーンブルグ劇場の演出者であったジョン・ブラームが監督に当たり、「クレイグの妻」のルシエン・バラードが撮影したもの。助演は「ノートルダムのせむし男(1939)」のサー・セドリック・ハードウイックを筆頭にサラ・オールグッド、オーブリー・メイザー、クイニー・レナード等でオーベロンを除いて主なる役はすべて舞台俳優が演じている。
1888年、ロンドンの街は恐怖におののいた。女だけをねらう殺人 鬼が横行するのだ。ロンドンっ子はこの殺人鬼を呼んで「切りさきジャック」と名づけた。鋭利なナイフで、外科医の如く鮮やかに切り殺すのである。既に犠牲者は数名しかも警視庁が総動員で逮捕に狂奔しているのに、ジャックは捕まらなかった。ジャックの活躍するのは、イーストエンド界隈であったが、そのイーストのホワイト・チャペルにロバート・トンという退職官使が夫婦で住んでいた。家族が少なく、部屋数が多いので、下宿人を置くことにしたところ、下宿人が来た。医者であると言い、研究のために必要だと屋根裏と二部屋借り、働く時間が不規則だから裏口から出入りするのであった。この家にはまた主人の姪に当たる人気ダンサーのキティーが住んでいた。女優やダンサーがよくジャックに狙われるから警戒するように、と警視庁の名探偵ジョン・ウォーリックが訪れた。彼は美しいキティーに特別の関心を寄せているらしかった。「ジャック」はなおも跳梁し、依然捕縛されない。ロバートとエレンの夫婦はようやく下宿人の行動に不審を起こし姪の身を気遣ってジョンに調べてもらったが、「下宿人」が「ジャック」である証拠はなかった。キティーはロイヤル座に出演し、「下宿人」にも切符をやる。その夜キティーが舞台を終わって、ひとり楽屋に帰ると、そこには「下宿人」が居た。彼女の金切り声を聞くと探偵は駆けつけ危うい所で彼女を救い、ピストルを持って舞台裏を追い回った末、生捕りにしようと追ったとき「下宿人」は窓を破って、テムズ河に飛び込んでしまった。
Kitty
John_Warwick
The_Lodger
Robert_Burton
Ellen
Supt_Sutherland
Deisy
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