ナンシー・キャロル
Mary
「踊り子夫人」「悪魔の日曜日」と同じくナンシー・キャロル主演映画で、ダナ・バーネットの小説を「屠殺者(1930)」「半分天国」のジョージ・アボットが脚色し、台詞を執筆し、監督したものである。相手役は「悪魔の日曜日」「ハア・マン」のフィリップス・ホームスで、ルイス・カルハーン、ガイ・キッビー、エドワード・キーン、ダクマー・オークランド、ジョーン・カーが助演している。撮影は「踊り子夫人」「けだもの組合」のジョージ・フォルシーの担任である。
メリーは往来で行き合った負傷している青年をいたわって自分の部屋に連れて来て介抱してやった。彼女はあるナイトクラブのダンサーだったが首になって今日のパン代にも窮している身の上だった。彼は今しも一工場から2万ドルを盗んで逃亡の際に狙撃されて負傷したのであった。そこへ警官がやって来たので、彼女はジョーをベッドに寝かして、おりから入って来た探偵に向かって彼は自分の兄で長いこと病伏していると説明した。何と思ったか探偵はメリーの言葉を信じた様子だった。喜んだジョーは盗んだ金で思い切り遊んでそれから潔く自首しようと提言した。メリーは賛成し2人はフロリダへ赴いた。彼等はパーム・ビーチで有閑階級生活の中に飛び込んでいろんな人達と知り合いになった。その中の1人で金持ちの遊び人スティーヴはメリーに惚れこんだ。悪銭は早くも尽きたが2人はお互いが真実に愛し合っていることを知り、刹那の歓楽を少しでも延長したい気持ちから残ったわずかの金をメリーはスティーヴに与えて、賭博で勝ってくれと頼んだ。スティーヴはメリーをジョーから奪う好機とばかり勝ったと称して多額の金をメリーに贈る。メリーとジョーはその金で高飛びしようとしていると、先日の探偵が現れて2人に手錠をはめた。ホテルの入口でメリーは金をバラまいたので大騒ぎとなった。そのどさくさに紛れて2人は逃げてスィーヴの家へ避難した。スティーヴは2人を助けることを承知した。警官がやって来た時運転手に化けたジョーは藁の中にメリーを隠して停車場用のトラックを奪って逃亡した。かくて2人はスティーヴのヨットに乗ってキューバに向かった。しかし彼等はお互いの愛を汚したくなかった。晴天白日のもとに愛し合うべきだと感じた。2人はニューヨークへ帰った。ジョーの刑期が終わるまでメリーは待っていようというのである。
Mary
Joe
Steve
Morgan
Mrs._Woodbridge-Woody
Harvey
Dorothea
Police_Commissioner
Henry
Mr._Cornell
Mrs._Cornell
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