サー・ガイ・スタンディング
Martin_Prentice
「女装陸戦隊」「森の男(1933)」と同じくヘンリー・ハサウェイが監督しベン・レイノルヅが撮影に当った映画で、オーガスタス・トーマスの舞台劇をソールズベリー・フィールドが改作し、アンソニー・ヴェイラーーが脚色した。出演者は「ゆりかごの唄」のサー・ガイ・スタンディング、「恐怖の甲板」のジョン・ハリデイ、「新世紀」のジュディス・アレン、「鉄血士官校」のトム・ブラウン、「ボレロ」のウィリアム・フローリー等である。
富豪ジャック・ブルックフィールドは広壮な自分の邸で賭博場を経営していた。1890年代の或る夏の夜の事であった。クレイはジャックの娘ナンシイの恋人でその夜は就職の吉報を齎して、ジャックを訪ね、ナンシイとの結婚の許可を得たのである。その時クレイはジャックがはめている猫目石の指環の怪しい魅力を怖れたので、指環を用いて施す催眠術が得意だったジャックは術を用いてクレイを眠らせ、指環に対する恐怖を除き去った。そして彼に指環を貸し与えた。翌朝クレイは殺人の罪に問われて投獄された。実はジャックの意志によってクレイが殺人を行ったのであった。クレイに術を施した時にジャックが殺そうと思っていた男を指環をつめたためにジャックの意志を己れの意志と感じたクレイが殺したのであった。ジャックとクレイの母ソーン夫人は老法官プレンティスを訪ねてクレイの弁護を依頼した、プレンティスはソーン夫人の母マーガレットと恋仲であった昔を思い出し、恋人の孫のため老体をひっさげて弁護に立った。クレイは指環の事実を述べたが誰も信用しなかった。そこでプレンティスは判事を説き伏せ、またジャックを説いて法廷に催眠術の実験をする事になった。ジャックは全法廷の嘲笑の内で一人の陪審官を対手に選び、彼に意志を通じて検事に発砲させた。勿論プレンティスがあらかじめ弾丸を抜いておいたのであった。かくてクレイは無罪になりジャックも意志があったに過ぎぬというので罪に問われる理由はなかった。プレンティスは相抱くクレイとナンシイの姿を眺め、マーガレットの面影を胸に浮べ乍ら静かに法廷を去るのであった。
Martin_Prentice
Jack_Brockfield
Forman_of_Jury
Nancy_Brookfield
Clay_Thorne
Lew_Ellinger
Mrs._Thorne
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