ウィリアム・ボイド
Jimmy_Bradley
「戦艦くろかね号」「駅馬車(1925)」の監督者ジェームズ・クルーズ氏の製作した映画で、「メリケン波止場」「空の鍛冶屋」のウィリアム・ボイド氏が主演し、「我等のサリー」のウォルター・ラング氏が監督したものである。クルーズ氏の良き協力者ウォルター・ウッズ氏がフランク・H・スペアマン氏の小説を改作し、併せてそれによって台本を作成した。ボイド氏の対手役は「つばさ」「飛脚カンター」のジョビナ・ラルストン嬢で、そのほか「野球王」のフィロ・マッカロー氏、デウィット・ジェニングス氏、アン・シェファー嬢も出演している。
1894年、米国西部国境近くの鉄道会社間では合衆国郵便運搬の利権を獲得せんとして激しい競争を続けた。エム・キュー・アンド・ティー会社社長はロッキー山間を1時間60マイルで走らせ郵便物を運ぶことを提議し、政府はもし試運転で首尾よくこれを遂行したならばこの会社と契約を結ぶことを承諾した。ジミー・ブラドリーはこの会社で古くさい機関車の火夫を勤めている若者である。彼はメディシン・ベンドにある休憩所の娘ケイト・マーフィーと恋仲であったが、ケイトには他に言い寄る男でバット・ムリンスという機関手がいた。ジミーには希望があった。99号の機関車は古くなったので解体せられる筈であるが、もしそれが解体を免れた時には、彼は昇進してその車の機関手になる筈であったからである。で、彼は機関手になった時にはケイトと結婚できると考えていたからである。ケントの誕生祝の日が近づいてジミーはケイトのことからバットと1悶着を起した。が、いよいよ誕生祝の日が来た時、ジミーはイタリア生れのトニーが牧童たちに苛められているのを救ってやったためにその騒動に巻き込まれ、折角のケイトとの会合を台無しにし、その上その席上でケイトはバットとの婚約を発表させられてしまう。ジミーのこの失敗から翌日になるといよいよ99号は解体せられることになり、その日、最後の運行をすることとなった。が、一方、バットは最新式の機関車で郵便物を送ることになっていた。しかしその火夫が酔っぱらっていたのでジミーが代って火夫の役をやることとなる。バットはジミーの制止をきかず車を極度に迅走させたため車は脱線し、バットは負傷した。ジミーは傍に99号があるのを見て、郵便物をそれに積みかえ、自身美事に車を走らせ指定の時間内に目的地に到着せしめた。かくて彼はその功により昇進すると共に、ケイトの愛をも同時にかち得たのであった。
Jimmy_Bradley
Kate_Murphy
Bat_Mullins
Mrs.Murphy
Bucks
Tony
Freddy
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