障害のある子どもたちの放課後活動を行うゆうやけ子どもクラブのドキュメンタリー。個性豊かな子どもたちと彼らを全身で受け止めるスタッフの姿をカメラが追う。また、ゆうやけの活動は、地域社会における人と人との繋がりや関係性についても考えさせられる。監督は、「ジョージとタカオ」が2011年度文化庁映画賞文化記録映画部門大賞を受賞するなど国内外で高い評価を得た井手洋子。
ストーリー
東京都小平市にあるゆうやけ子どもクラブは、放課後や夏休みに子どもの活動場所が欲しいという親の切実な願いで1978年に誕生した、全国でも放課後活動の草分け的な存在だ。知的障害、発達障害、自閉症など、様々な障害の小学生から高校生までの子どもたちが共に過ごし、遊びや生活を通して子どもたちの内面に迫る活動を創り上げてきた。自分の気持ちをうまく表現できないガク君、積み木に夢中になって子どもたちの輪になかなか入ることができないヒカリ君、音に敏感すぎてずっと給湯室にこもっているカンちゃんなどの子どもたちを、スタッフは全身で受け止める。そんな彼らが、時間をかけてゆっくりと変っていく姿をカメラは追う。ツクちゃんはゆうやけに通うたびに注文用紙を作って持ってきて、指導員の村岡さんと電話注文ごっこをする。ユウト君は、真冬の公園でダンゴ虫を探すと言ってきかず、指導員の井原さんは集合時間ギリギリまでユウト君につきあって一緒に探す。子どもたちの限りない探求心に、指導員たちはトコトン付き合う。本作は、障害者と健常者という区切りをつけずに一人ひとりの子どもの世界を味わい、心のバリアを取り払うきっかけになるよう、個性豊かな子どもたちそれぞれの世界を丹念に描く。また、子どもたちの時間という日常を描くとともに、親子が参加する運動会や父母会の活動も映し出す。障害のある子どもやその家族は地域のなかで孤立しがちだが、ゆうやけ子どもクラブでは、保護者同士や職員と保護者が緩やかに繋がる家族のような関係を目指してきた。ゆうやけの活動を通して、地域社会で見失われつつある人と人との繋がりや関係性についても考えさせられるだろう。
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 2019年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 井出商店映画部=ピカフィルム
- 初公開日
- 2019年11月16日
- 上映時間
- 112分
- 製作会社
- 井手商店映画部 (企画:「ゆうやけ子どもクラブ!」上映実行委員会)
- ジャンル
- ドキュメンタリー
[c]キネマ旬報社