グレゴリー・ペック
Captain_Ahab
ハーマン・メルヴィルの名作“白鯨”の映画化。“モビイ・ディック”と呼ばれる狂暴な白鯨と老朽捕鯨船ピークォド号船長エイハブとの激闘を中心とした海洋スペクタクル。脚色は「原子怪獣現わる」のレイ・ブラッドベリとジョン・ヒューストン、「悪魔をやっつけろ」に続いてヒューストンが製作・監督を担当。撮影監督は「しのび逢い」のオズワルド・モリス、作曲はフィリップ・スティートン。出演者は、「灰色の服を着た男」のグレゴリー・ペック、「善人は若死にする」のリチャード・ベースハート、「チャタレイ夫人の恋人」のレオ・ゲン、「ピラミッド(1955)」のジェームズ・R・ジャスティス、「トロイのヘレン」のハリー・アンドリュース、「知りすぎていた男」のバーナード・マイルズ、「ナポレオン」のオーソン・ウェールズなど男性オールスター・キャスト。
1814年、北米捕鯨業中心マサチューセッツ州ニュー・ベドフォード。海にあこがれを求めてやってきた、風来坊のイシュール(リチャード・ベースハート)は“捕鯨館ピーター・コフィーン”に宿を求め、同室の銛打ちクィークェグ(フレデリック・レデバー)と無二の親友になる。クィークェグは全身刺青だらけの変人だが案外の善人である。翌日イシュメールは、教会で昔は銛師だったマップル神父(オーソン・ウェルズ)の説教を聴いた後、奇妙な男エリジャー(ロイヤル・ダノ)の警告にも屈せず、老朽捕鯨船ピークォド号の乗組員に傭われる。船長の名はエイハブ(グレゴリー・ペック)。鯨骨の義足を不気味に無気味に響かせ、顔面に深い傷跡を持つ彼の姿には、威厳と共に何かしら陰惨な、物に憑かれたような感じがあった。彼は以前、モビイ・ディックと呼ぶ白鯨に片足をもぎ取られて以来、復讐の一念に凝り固まっていた。今度の航海も目的は同じ。何も知らずに乗組んだ荒くれ船員達は、一日、彼の白鯨追跡宣言に驚いたが船長の狂熱ぶりに感染、賞金のスペイン金貨を得んものと夢中になる。唯一人理性を失わぬ一等運転士スターバック(レオ・ゲン)は、神を恐れぬこの行為に反対したが一蹴された。鯨群を追うピークォド号は、途中、ロンドンに船籍を持つサミュエル・エンダビイ号に出会う。船長のブーマー(ジェームズ・R・ジャスティス)が白鯨を捕り逃したというと、エイハブは怒って彼を自分の船に追い帰す。やがて同じ捕鯨仲間のレイチェル号にも邂逅。ガーデナー船長(フランシス・デ・ウルフ)は、12になる息子を先日、海で見失い、血眼になって探し廻っている。だが彼の協力の懇請も、エイハブには時間の浪費としか思えない。数刻後、嵐が船を襲う。だが強風にもエイハブは帆を下せと命じない。怒ったスターバックとエイハブは豪雨の中に対立。だがエイハブの形相と白鯨への執念に、スターバックもたじろぐうち、嵐は去る。遂に宿敵のモビイ・ディックを発見し、4隻のボートが下され、巨鯨との戦闘が開始される。しかしモビイ・ディックの背中へよじ上り憎悪の銛をぶちこむエイハブは銛綱に巻き込まれ、怒り立った鯨諸共、海中に姿を没する。ボートは白鯨の巨大な尾で砕け散り、スターバックが指揮するピークォド号も沈没。ただ一人生き残ったイシュメールは、クィークェグが船大工に作らせてあった棺桶の背で一昼夜を漂流した後、レイチェル号に救い上げられた。
Captain_Ahab
Ishmoel
Starbuck
Captain_Boomer
Stubb
Manxman
Carpenter
Daggoo
Peleg
Peter_Coffin
Captain_Gardiner
Bildad
Elijah
Queequeg
[c]キネマ旬報社