ビリー・ダヴ
Sari_Countess_Thurao
墺国サッシヤ会社で「サムソンとデリラ」を監督したアレクサンダー・コルダ氏の渡米第1回作品で、コルダ氏とケイリー・ウィルソン氏との合作になった脚本を使用した。主役は「感傷の秋」「紅草紙」主演のビリー・ダヴ嬢、「最後の栄冠」「男みるべからず」出演のロイド・ヒユーズ氏が勤め、リリアン・タシユマン嬢、アーマンド・カリス氏等が助演している。
美しく優しいサリは彼女の家に働いている農夫の息子フランツ・ブレスと幼い時から恋仲であったが、古き匂牙利の名家であるツルゾ伯爵家の一人娘である彼女と、賎しい身分のフランツとの恋は、伝統を重んじるこの国では、到底実現すべくもなかったのである。やがてフランツは志を立て、アメリカに渡ったが、サリもこの自由の天地に初めて恵まれて見えたがそれも束の間、彼女は厳格なる父に呼び戻されて帰国しなければならなくなった。そしてそこには、既に父が定めた許婚の男爵フォン・ハイムベルクが待っていた。ハイムベルクはその素行に就て、兎角の噂の絶えない青年将校であったが、サリの父は、彼が名門の出であることを第1の条件としているのであった。一方フランツも彼女を追って帰国したが、彼は直ちに国境に於いて軍隊に召集され、皮肉にもハイムベルクの従卒として軍務に服さねばならなかった。その中にサリとフランツとの間を薄々感づいたハイムベルクは、上官の位置を利用して、こと毎にフランツを迫害するのであったが、遂にハイムベルクに耐え兼ねて、フランツは彼を床に撃ち倒したが、軍籍にある身は当然上官に反抗した罪を免れることは出来なかった。サリはフランツを己の室に隠して、一時その危険を救うことが出来たが、遂に逃れぬ所と決心した彼女は、愛人の命を救うために、すべてを諦めてハイムベルクと結婚しようと決心した。その時、ハイムベルクに捨てられて、復讐を誓っていた妖婦ロナ・ナデイがサリの許を訪れ、彼女の身代わりとなって、サリを逃した。花嫁がロナであることをハイムベルクが発見した頃、愛し合うサリとフランツとは、自由と幸福とを求めて、遥かに国境を越えつつある時であった。
Sari_Countess_Thurao
Franz_Pless
Ilona
Baron_von_Heimberg
Count_Thurzo
Lieut.Kiss
Archduke
Sergeant
Dancer
[c]キネマ旬報社