ルース・ゴードン
Maude
死の幻想に酔い、自殺を夢見る19歳の少年と、生を謳歌する80歳の老婆の恋を描く。製作はコリン・ヒギンズとチャールズ・B・マルヴェヒル、監督は「真夏の青春」のハル・アシュビー、脚本もコリン・ヒギンズ、撮影はジョン・A・アロンゾ、音楽はキャット・スティーヴンス、編集はウィリアム・A・ソーヤーとエドワード・A・ワーシルカ・ジュニア、美術はマイケル・ホーラーが各々担当。出演はルース・ゴードン、バッド・コート、ヴィヴィアン・ピックルズ、シリル・キューザック、チャールズ・タイナー、エレン・ギーア、エリック・クリスマス、G・ウッド、ジュディ・エングルズなど。
19歳のハロルド(バッド・コート)にとって“自殺”は生活の一部だった。広大な邸宅、欲しい物は何でも手に入る一人息子の彼は、ママ(ヴィヴィアン・ピックルズ)や叔父(チャールズ・タイナー)に代表される体制に、自殺で抗議するのだった。応接間で首つりをしたり母親のバスルームで喉や手首を切って血の海にひたる――そのたびに母親が青くなればなる程、彼は満足感を味わう。彼の愛車は霊柩車。それを運転して葬式に出席する。たびたびの葬式通いのうちに、もう1人の傍観者がきているのに気づいた。80歳のおばあちゃん、モード(ルース・ゴードン)である。彼女はチャーミングでいたずら好きで、生きることの喜びに満ちている。今は廃棄された鉄道車両に住む彼女を訪ねたハロルドは、彼女が友だちの彫刻家グローカス(シリル・キューザック)のためにヌード・モデルをやっているのを見て興味をもった。彼女はまたハロルドに絵画や音楽のすばらしさを教えた。一方母親は、コンピューターによるデート紹介サービスに依頼して、彼にガールフレンドを見つけてやることを決めていた。彼の霊柩車も処分し、かっこいいジャガーを買い与えたが、ハロルドはすぐさまそれをミニ霊柩車に変えてしまった。コンピューターが選んだ最初のデート相手は、女学生のキャンディ(ジュディ・エングルズ)だった。しかし、彼が身体に灯油をかけて火をつけたため、悲鳴をあげて逃げてしまった。2番目も3番目も同じように逃げだした。万策つきた母親を冷たく見ながら、ハロルドはモードと一緒にいる楽しさを味わった。ある夜、2人はカーニバルにいって遊んだ。ハロルドはモードを深く愛していると告白した。2人はモードの車両に帰り、ピアノを弾き、ワルツを踊った。暖炉には火が燃え、2人はベッドに入った。翌日、ハロルドはモードの写真を母親に見せ、結婚すると宣言した。母親、叔父、はては牧師まで反対してわめきたてた。しかし、ハロルドは頑として耳をかさなかった。この問題を解決したのはモードだった。80歳の誕生日を迎えた日、2人だけのパーティで、こんなすばらしい別れはないと睡眠剤を飲んで自殺した。モードのいない翌朝、彼は泣きながら霊柩車を崖下に落下させた。崖の上ではハロルドがバンジョーで“モードのワルツ”を弾く。いま、ハロルドは生きる自信を全身に感じて歩みだした。
Maude
Harold
Mrs._Chasen
Glaucus
Uncle_Victor
Sunshine_Dore
Priest
Psychiatrist
Candy_Gulf
Edith_Fern
監督
脚本、製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
編集
字幕
[c]キネマ旬報社