デイヴィッド・ニーヴン
Raffles
原作は英国の探偵作家E・W・ホーナングの“紳士泥棒”で今回 が4度目の映画化。ゴールドウィンとしても2度目(最初は1930年、ロナルド・コールマン、ケイ・フランシス主演)の製作である。原作から「ママの思い出」のジョン・ヴァン・ドルーテンとシドニー・ハワードが共同脚色し、「誰が為に鐘は鳴る」のサム・ウッド(先年死去)が監督した。撮影はこれも先年物故した「偽りの花園」のグレッグ・トーランド、音楽は「白昼の対決」のヴィクター・ヤング。出演は「快傑紅はこべ」のデイヴィッド・ニーヴンと、「見知らぬ人でなく」のオリヴィア・デ・ハヴィランドをはじめ昔懐かしいディム・メイ・ホイッティ、ダッドリー・ディグス、ピーター・ゴッドフリーなどの面々が顔をそろえている。1939年作品。
1930年代のロンドンの話。スコットランド・ヤードの腕利き警部 マッケンジー(ダッドリー・ディグス)は姿なき怪盗“紳士泥棒”を捕えんものと躍起になっていたが怪盗はある日、国立美術館から名画の1つをマンマと盗み出した。翌朝、警部の部屋にモードという老婆が訪れ、問題の名画と怪盗の置き手紙を差し出して一同を唖然とさせた。その頃メルローズ卿夫人(ディム・メイ・ホイッティ)のパーティではクリケットの名手ラッフルス(デイヴィッド・ニーヴン)が一座の人気を集めていたが彼こそ怪盗“紳士泥棒”の正体だった。ラッフルスは親友バニーの妹グウェン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)を愛していたが彼女の自分に対する愛情を知って永年の泥棒道楽を清算する決意を固め盗んだ腕輪を煙草の空箱につめて警視庁に送った。だがその空箱に残っていた、メルローズ卿のメモの筆痕から、マッケンジー警部はある夜西ミルトン28の卿の別荘を訪れて賊の探索を始めた。初めはバニーを疑っていた警部もやがて真犯人はラッフルスらしいと睨み、虚々実々の探り合いが始まった。しかしグウェンの兄バニーが賭博にこって公金に手をつけたことを知ったラッフルスは穴埋めのため卿夫人の首飾りを狙った。折も折コソ泥のクロシェイが女中の手引で邸に忍び込んだのに気づいたラッフルスはくらがりで彼をしめあげて首飾を取り上げた。だがクロシェイは腕時計の形で強奪者を見破り捨てぜりふを残して拘引されていった。あくまでラッフルスを疑う警部はロンドンで彼をクロシェイと対決させようと企て、これを洩れきいたグウェンは愛人に急を知らせたが仮釈放されたクロシェイの闖入と警部の来訪ですべては明らかとなった。だがラッフルスは巧妙なトリックで包囲陣の裏をかいて恋人グウェンにきっと戻るとの言葉を残して逃げ去り警部も兜を脱いで感嘆した。
Raffles
Gwen
Lady_Melrose
Mackenzie
Bunny
Lord_Melrose
Barraclough
Crawshay
Maud_Holden
[c]キネマ旬報社