ラムスデン・ヘーア
Sir_Clande_Wyverne
英国の貴族クロード・ワイヴァーン卿は遊猟等に耽って妻のカスリンを顧みなかった。単調な生活に飽きた彼女は夫に薦めてバーバリイの羊のいるというアルゼリアの砂漠へ猟に出掛ける。クロード卿が獲物を追う留守を狙っては、夫人の宝石の美しさに眼眩んだベンカーラルは夫人に近づく。月の清い夜であった。夫人は美しい声で唱い寄るベンカーラルに心動く。野心を抱いた彼は案内者にクロード卿を遠ざけるように頼んだが、卿は夜晩く帰宅した。この時カスリンは留守であったが程なく帰って来た。初めて妻の挙動に不審を抱いた卿は次の夜外出するように見せ掛けた。カスリンは再び夜の甘い気分とベンカーラルの美しい声に引き寄せられて砂漠へ走った。ところがベンカーラルに恨みを抱く男が彼を殺したので、卿は潔く妻の過ちを赦した。
[c]キネマ旬報社