ポリチハン・ジリムト
チョクト
北京電影学院の教授を務めるワン・ルイが、自身の過去の痛みに向き合い、亡き妻に捧げた夫婦の愛の物語。内モンゴルの草原。都会での生活を望む夫のチョクトと、今の暮らしに満足する妻のサロールは、互いに愛し合いながらも、徐々に気持ちがすれ違っていく。不器用でまっすぐな夫婦を演じるのは、遊牧民の家庭で生まれ育った俳優のジリムトゥと歌手のタナ。内モンゴル出身の俳優やスタッフと共にモンゴル語で挑んだ本作は、中国最大の映画祭、金鶏奨で最優秀監督賞、東京国際映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞するなど、高評価を得た。
内モンゴルの草原に暮らす一組の夫婦。夫のチョクトは都会での生活を望んでいるが、妻のサロールは今の暮らしに満足していた。ここではないどこかへ思いを巡らせ、ふらりといなくなるチョクトに腹を立てながらも、彼を愛するサロール。だが、やがて草原にも変化が訪れ、徐々に2人の気持ちがすれ違い始める。どこまでも続く大地、空を流れる白い雲。羊は群れをなし、馬は草原を駆け抜ける。悠久の自然の中で揺らぎ続けるチョクトとサロールの心。そしてある冬の夜、2人は大きな喪失を経験する。その夜を境に、サロールと草原で生きる覚悟を決めたチョクトだったが……。
[c]キネマ旬報社