監督
2人のクルド人青年を5年以上取材し、日本の難民認定の問題に迫ったドキュメンタリー。18歳のオザンと19歳のラマザンは、小学生の頃から難民申請を続けるトルコ国籍のクルド人。いつ収容されるか分からない不安を感じながら将来を思い描く彼らの日常。監督は、徴兵制度に葛藤するウクライナの若者たちを追った「銃は取るべきか」や、在日シリア人難民家族の1年を記録した「となりのシリア人」など、テレビドキュメンタリーを手掛けてきた日向史有。
ストーリー
2021年5月、入管の収容者に対する非人道的な行為や環境を問題視する世論の高まりを背景に、日本の入管法改正案は事実上、廃案となった。しかし、難民条約を批准しながらも難民認定率が1%にも満たない日本の現状に変わりはない。故郷での迫害を逃れ、小学生の頃に日本へやってきた18歳のオザンと19歳のラマザンは、難民申請を続けるトルコ国籍のクルド人。入管の収容を一旦解除される“仮放免許可書”を持つものの、身分は“不法滞在者”だ。いつ収容されるか分からない不安を常に感じながら夢を抱き、将来を思い描く。しかし、住民票もなく、自由に移動することも、働くこともできない。また社会の無理解によって教育の機会からも遠ざけられていた。やがて、東京入管で事件が起きる。長期収容されていたラマザンの38歳の叔父メメットが極度の体調不良を訴えたが、入管は家族らが呼んだ救急車を2度に渡って拒否。彼が病院に搬送されたのは、30時間後のことだった。在留資格を求める声に、ある入管職員が嘲笑混じりに吐き捨てた。“帰ればいいんだよ。他の国行ってよ”。5年以上の取材を経て描かれる2人の若者の青春と“日常”。そこから浮かび上がるのは、救いを求め懸命に生きようとする人々に対するこの国の差別的な仕打ちだ。彼らの希望を奪っているのは誰か?救えるのは誰か?問われているのは、スクリーンを見つめる私たちだ。
スタッフ
撮影
松村敏行
撮影
金沢裕司
撮影
鈴木克彦
編集
秦岳志
サウンドデザイン
増子彰
プロデューサー
牧哲雄
プロデューサー
植山英美
プロデューサー
本木敦子
カラーグレーディング
織山臨太郎
MA
富永憲一
クルド語翻訳