ロバート・デュヴァル
Bull
軍人精神につらぬかれた父親の、家族に対する愛情を描く。製作はチャールズ・A・プラット、監督・脚本は「午後の曳航」のルイス・ジョン・カルリーノ、撮影はラルフ・ウールジー、音楽はエルマー・バーンスタインが各々担当。出演はロバート・デュヴァル、ブライス・ダナー、マイケル・オキーフ、スタン・ショウなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。テクニカラー、ビスタサイズ。1979年作品。
ここスペインのレストランでは、アメリカ海軍のジェット・パイロット、ブル・ミッチャム中佐(ロバート・デュヴァル)の昇進帰国祝いのパーティが開かれており、ブルはヘベレケになってうかれていた。彼は42歳でパイロットとしては超一流なのにその反骨精神が邪魔してか、やっと中佐という遅い出世だった。アトランタの飛行場では、ブルの妻リリアン(ブライス・ダナー)と長男のベン(マイケル・オキーフ)、を筆頭に長女、次女、末娘の4人の子供たちが一列に並び、ブルの到着をまっていた。ブルの顔をみたら敬礼をするという約束に反して、ブルの顔を見た途端、一同はブルに飛びつき、久しぶりの再会を喜ぶのだった。翌日、ブルをはじめ家族の者たちは新しい任地、南カロライナのビューフォードヘ向かった。新しいビューフォードでの生活は素晴しいものだった。べンは今年18歳になる頭もよくスポーツ万能の好青年で、リリアンにとっては理想的な息子だった。しかし、ブルにとっては、ベンの“やさしさ”がどうも気になり、ことあるごとに小言を言った。遂には将校のバーに連れて行き、正体不明になるまで酒を飲ます始末。そして遂にリリアンと大喧嘩した末に家を飛び出すブル。子供たちがみなリリアンに味方したからだ。リリアンに言われて、ブルを探しに出かけたベンは、木陰にもたれて家族の1人1人に呼びかけているブルの姿を目にした。そしてベンは皆を愛しているブルの本心を知る。ミッチャム家に再び平和な日々が訪れた。しかし、不幸は突然起こった。訓練中にジェット機が故障し、ブルは帰らぬ人となってしまったのだ。葬式が済み、ミッチャム家がビューフォードを去る日、ブルが坐っていた運転席には今は一家を支えるベンが坐っているのだった。(ワーナー・ブラザース映画配給*1時間58分)
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