ボブ・ホープ
Robert_Leslie_Hunter
ボブ・ホープのトルダ・プロの作品で、「殺人狂想曲」のフランス喜劇役者フェルナンデルと彼との顔合わせが見ものの一篇。監督も、ドイツの新鋭ゲルト・オスワルトが迎えられており、脚本は「国境の決戦」のディーン・リーズナーと、エドモンド・ベロイン。撮影は「殺人狂想曲」のロジェ・ユベール、音楽の作曲指揮をジョゼフ・J・レリイ。「すてきな気持」につぐホープと、フェルナンデルに共演するのは「のるかそるか」のアニタ・エクバーグと「野望に燃える男」のマーサ・ハイヤー。製作はボブ・ホープ自身。
アメリカの映画とテレビの人気喜劇俳優ボッブ・ハンター(ボブ・ホープ)は、次回作の台本を買うためにパリに向けて米国をたった。その船中には、有名なフランス俳優フェルニデル(フェルナンデル)、パリのアメリカ大使館に勤める美人アン・マコール(マーサ・ハイヤー)、ザラという不思議な名の魅力的な女(アニタ・エクバーグ)がいた。ボッブはアンをパリ娘と思って早速うちとけようとしたが、冷たくあしらわれた。しかしフェルニデルのとりなしでややうちとけ、彼女を通訳に2人の米仏俳優は仕事の話に熱中する。ボッブは、フランスの有名な作家セルジュ・ヴィトリーの新作を買いに行くところだと打ち明けたが、フェルニデルが大変熱心にその台本のことを聞くので、慌てて、その上演権はもう手に入れたも同然だとつけ加えた。これを本気にしたパリの秘密団体から台本入手を司令されているザラは、ボッブの船室を探って、出るところをアンに見つけられる。それを誤解して幻滅を感じたアンは1人パリ大使館に着任した。ところが彼女が命じられたのは訪仏要人受け入れ係で、その最初の人はボッブだった。ボッブは求める台本が、ある国際団体の内幕をあばいたものなのを知ったが、ますます上演欲をそそられた。しかしザラの仲間が台本を狙って色々と彼の命を落とそうとする。度重なる事故のためボッブは留置場に入れられ、これをフェルニデルの企みと思い込んだが、その翌日、劇作家ヴィトリーが殺されたと聞いて驚いた。台本が国際詐欺団を暴露したものなので起こったことだったのだ。彼は当局に協力を求めた、しぶしぶ従ったが、又もや危険にあい、パリから逃出そうとした。しかし彼に恋してしまったザラのために、非常手段として気違い病院に保護収容される。アンとフェルニデルも彼の安全のためにそのままにしておく。台本のありかを知ったアンは危機に落ちるがフェルニデルと、彼につれ出されたがボッブに助けられる。更に迫った悪人共も、ザラの改心による協力で退治した。台本とアンと勲章を手に入れたボッブと、ザラのお相手役を買って出たフェルニデルとは、改めてお互いの友情をたしかめあって握手した。
[c]キネマ旬報社