2019年6月から始まった香港の民主化デモでは、若者による抗議の自殺が相次いだ……。絶望し自殺しようとする少女を救うために、若者たちが仲間うちで民間捜索隊を結成して香港を疾走する青春群像劇。本作は表現の自由を制限された香港で、新人監督たちによって極秘裏に制作され、台湾アカデミー賞(金馬奨)の最優秀新人監督部門、最優秀編集部門にノミネートされ、金馬国際映画祭アジア最優秀映画賞を受賞した。デビュー作で世界に注目されたのは、レックス・レン(任侠)監督とラム・サム(林森)監督。起用した多くの俳優は、演技経験のない新人で、時にはデモ現場で監督自らがスカウトもした。コロナ禍のデモ現場でのゲリラ撮影など、ドキュメンタリータッチな疾走感は、香港の街の熱気をリアルに映し出す。
ストーリー
2019年、香港の街はデモに参加する若者があふれていた。少女YYは、親友のジーユーとゲームセンターで遊び、時にデモに参加する普通の17歳だ。父親は中国で働き、母親は再婚相手とイギリスに渡った。デモに参加して逮捕されたYYとジーユー。「香港は変わらない」と、ジーユーはYYに香港を去ることを告げる。孤独と絶望を抱えたYYは、18歳の誕生日にSNSにメッセージを残し、ひとり香港の街に消える……。少年ナムは、SNSでYYのメッセージを見つけ、YYを助け出そうとする。恋人のベル、デモ仲間のルイス、バーニズム、そしてソーシャルワーカーのバウ、ドライバーのファイ兄妹、“セーラームーンライダー”兄貴たちも加わり、捜索隊が結成される。助け合いながらも、時にぶつかり合い、YYを探して香港の街を駆け巡る捜索隊。それぞれの思いを胸に、YYを探し出そうとするが、誰もYYを見つけ出せないまま、時間だけが過ぎてゆく。夜が深まり、屋上からひとり香港の街を見下ろしているYYの姿が……。
スタッフ
監督、編集、プロデューサー
レックス・レン
監督
ラム・サム
脚本、プロデューサー
ダニエル・チャン
撮影
ming
撮影
田中十一
撮影
ベニー・チャン
音楽
Aki
編集
L2
プロデューサー
ウー・チェンチェン
宣伝デザイン
阿部宏史
日本語字幕
最上麻衣子
予告編監督