ルイス・ストーン
Stephan_romholt
「恋多き女」「エロチック艦隊」と同じくクラレンス・ブラウン監督作品で、「肉体と悪魔」の原作者ヘルマン・ズーデルマン作の小説「ステファン・トロムホルトの妻」に基づいて「恋多き女」「海魔」のベス・メレディスが脚色及び台詞を担任し、「エロチック艦隊」「黎明の剣士」のメリット・ガースタッドが撮影を担当している。主役は「マダムX」「恋多き女」のルイス・ストーン、映画初出演の舞台女優ペギー・ウッド、「侠盗ヴァレンタイン」「仮面の男(1929)」のリーラ・ハイアムスで、ハリー・マイヤース、サラ・パッデン、ウォーリー・オールブライトジュニア等が助演している。
ステファン・トロムホルトといえばドイツでは知らぬ者のいない音楽家である。彼は作曲家として天才的であるとどもにピアノ演奏家としても天分ある芸術家だった。そして彼はまた好色家としても有名であり、全ドイツの婦人たちは皆ステファンに多少とも憧れている有り様であった。ある時彼は1小都市の音楽会に出演すべく列車上の人となったが、ふと物静かな美人を見つけて、彼の食指はたちまち動いた。女も彼が有名な音楽家であることを知ると一入興味を覚えた。かくてステファンは音楽会に出席することも忘れて彼女を送ってその家を訪れた。彼女の名はブリギッテといった。彼女には3人の子供があった。相当の資産のある寡婦だった。ステファンは彼女の純情にほだされて結婚した。彼女の深い愛と献身的な奉仕とは認めながらも芸術家肌の気まぐれを持つステファンは彼女にあきたらぬものを感じ始めた。ステファンは芸術上の苦悩から作品を匿名で発表した。妻は良人の仕事を尊敬してあらゆる援助を惜しまなかった。実情を知らぬ社会はステファンの芸術が家庭生活のために堕落していると非難した。ブリギッテは夫の休養を勧めた。昔の情婦カレンの手紙に接したステファンはそれをきっかけとしてカレンと密会に赴いた。降誕祭の前夜夫を驚かさんとステファンのもとを訪れたブリギッテは夫がカレンと相抱いているのを見て、別れ去ろうとする折りブリギッテの末子が死んだという電話がステファンのもとに来た。それが縁となってステファンはブリギッテと共に帰宅した。かくて7年、妻の愛と奉仕にかかわらずステファンには悩みがあった。たまたま友人たる音楽批評家ブルノの非難の評をみて彼はそれをブリギッテの罪に帰して、今は有名な歌手となっているカレンのもとに赴いた。ブリギッテは病んだ。そして危篤となる。カレンと渡米することとなったステファンは別れを告げに妻の家に立ち寄った。ブリギッテは病いを押して夫を迎えたが、夫が帰宅したのではなく渡米すると聞いて卒倒する。そしてステファンが作曲した「愛の歌」を彼に奏でて貰いながら永眠した。ステファンは初めてブリギッテの魂の尊さを知ってカレンとは手を切った。彼はブリギッテの形見の2人の子供を相手に芸道に精進し、彼の名は年とともに高まったのである。
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Brigitte
Karen
Bruno_Heim
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The_Housekeeper
Wulle_Wulle
Lottie
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Kurt
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